2018年07月30日
差し歯の周りの歯ぐきが黒ずんでしまうと、笑った時などにとても目立ってしまいます。このような歯ぐきの黒ずみを解消することはできるのでしょうか。歯ぐきの黒ずみの原因と、対処法についてご紹介します。
歯ぐきの黒ずみの原因は「メタルタトゥー」
差し歯の周りの歯ぐきの黒ずみの主な原因は、差し歯に使われている金属です。
進行した虫歯治療の場合、根の治療を行った後に土台を入れて被せ物を装着することで噛む機能を回復させます。この被せ物が保険適用の場合、前歯は表側が白いプラスチック、内側が金属素材のものになり、奥歯は全体が金属でできた被せ物となります。
この金属こそが、歯ぐきに黒ずみを生じさせる「メタルタトゥー」の原因となるのです。
年数が経つにつれてイオン化した金属が徐々に流れ出て、歯ぐきに黒っぽい色素として沈着します。
特に銀は黒ずみやすい金属素材であり、保険診療で使われる被せ物は「金銀パラジウム合金」が使われているため、歯ぐきを変色させやすいのです。
また年齢を重ねると歯ぐきが下がりやすくなり、歯ぐきと差し歯の間に隙間が生じることで金属イオンが流れ出て、メタルタトゥーが起きてしまうこともあります。
長年同じ差し歯が入っている場合、特にメタルタトゥーが起きやすくなると言えるでしょう。
メタルタトゥーの改善法は?
メタルタトゥーは金属を使っているために起こります。そのため原因となっている金属素材を取り除くことが必要です。
・金属の土台を非金属のものに変える
土台に金属が使われている場合、非金属の土台であるファイバーコアやレジンコアに取り替えます。内部に虫歯がある場合、まず虫歯の治療を行ってから非金属の土台を立てます。
差し歯の周りの歯ぐきが黒ずんでしまうと、笑った時などにとても目立ってしまいます。このような歯ぐきの黒ずみを解消することはできるのでしょうか。歯ぐきの黒ずみの原因と、対処法についてご紹介します。
・メタルタトゥーの原因となる差し歯を、セラミックなどのものに変える
保険適用の差し歯をオールセラミックやジルコニアクラウンなどの被せ物に変えることで、その後のメタルタトゥーの心配はなくなります。
なお同じセラミックの被せ物でも、メタルボンドは内側に金属が使われているため、見た目は白くてもあまりお勧めできません。
また前歯の差し歯の場合、審美的に最も美しいのはオールセラミックです。透明で自然な白さは周りの歯の色調と馴染みやすく、自然な美しさを手に入れることができます。
ジルコニアクラウンは強度が非常に優れているものの、人工的な白さのため前歯には不向きです。強度を生かし、奥歯の被せ物として選択するほうがよいでしょう。
オールセラミックやジルコニアクラウンなどの被せ物は自費治療となるため、金額は歯科医院により異なります。素材の費用は歯科医院にお尋ねください。
・歯科用レーザーを使って、歯ぐきの黒ずみを取り除く
沈着した歯ぐきの黒ずみは、なかなか自然には改善しません。このため歯科用レーザーを使って、沈着した歯ぐきの黒ずみを取り除くことが可能です。
ただし、歯科用レーザーはどこの歯科医院でも置いてあるわけではありませんので確認が必要です。
まとめ
メタルタトゥーの改善法についてお話しました。
メタルタトゥーは、金属が使われている差し歯や土台が原因です。原因となる金属を取り除くメタルフリー治療を行うことで改善が可能です。またレーザー治療と併用することで、きれいな歯ぐきを取り戻すことが可能なため、歯ぐきの黒ずみに悩む方は、まず歯科医院に相談してみて下さい。
2018年06月29日
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2018年06月25日
きちんと歯を磨いているのになんだか差し歯のあたりの匂いが気になることはありませんか。差し歯は汚れが溜まりやすく口臭の原因になることがあります。それはなぜなのか、今回は差し歯と口臭の関連性についてお伝えします。
差し歯とは
よく「差し歯」と言いますが、この差し歯とはいわゆる俗称で、前歯の人工歯のことです。前歯の神経の治療を行ったとき、最終的に入れる人工歯であり、複数歯の場合はブリッジの場合もあります。保険診療の場合は表側が白いレジンで裏側が金属、自費診療の場合はすべてセラミックでできているオールセラミックや、少し前なら表側がセラミック、内側が金属のメタルボンドなどが前歯の人工歯でよく使用されています。
奥歯の場合は差し歯ではなく、被せ物とよく言われるクラウンとなります。
ただ患者さんはすべてを総称して「差し歯」と言うことが多いようです。
なぜ差し歯のあたりが匂うのか
ではなぜ差し歯から匂いがするのでしょうか。差し歯や銀歯のあたりの匂いの原因はいくつか考えられます。
・差し歯にした歯が二次カリエスになっている
・歯と差し歯の隙間に汚れが溜まっている
・歯周病になっている
以上挙げた原因の中でも最も多く見られるのが、差し歯の下で新たな虫歯ができる「二次カリエス」です。歯と被せ物の間には境目が生じるため、その隙間から虫歯菌が入り込んで内部で虫歯になる二次カリエスになると、そこから匂いが生じます。特に神経を取った歯の場合、痛みがなく症状が進行するため二次カリエスに気づきにくいのです。
二次カリエスの進行具合では最悪、抜歯になってしまう可能性があります。
歯と差し歯の間の隙間に食べかすや汚れが付着すると匂いが生じ、口臭として現れることもよくあります。食べかすや汚れが溜まると歯ぐきが腫れ、ブラッシング時に出血することもしばしばあります。
歯周病も口臭の大きな原因です。差し歯の周りにプラークが溜まるとそこへ歯周病菌が入り込んで毒素を出して歯ぐきに炎症を起こし、歯肉炎や歯周炎を引き起こします。歯周病が進行すると、かなり強烈な匂いが出るため、さし歯にイヤな匂いがする場合は歯周病になっていると考えられます。
歯肉炎が進行して歯周炎になると、歯周ポケットが深くなるのでさらにプラークが溜まりやすくなります。その結果、歯周病菌が出す毒素と汚れが混ざって強烈な口臭になってしまうのです。
差し歯が入っている人は、入念な口腔内ケアを
差し歯そのものは虫歯になりません。ただし差し歯は自分の歯を残して人工歯を被せるため、自分の歯と歯ぐきの間にプラークが溜まりがちになります。また保険診療の場合、どうしても精度が劣るため自分の歯と人工歯の間の隙間に段差が生じます。そのためどうしても二次カリエスのリスクが出てくるのです。
口臭を軽減するためには、人工歯を保険のものではなく、オールセラミックなどの自費のものを選ぶことで歯と人工歯の段差がほとんどなくなり、二次カリエスのリスクはかなり低くなります。
また口腔内ケアを入念に行うことは、口臭予防として欠かせません。通常のブラッシングだけではどうしても歯と人工歯の間の汚れが落とせません。デンタルフロスや歯間ブラシを使うこと、そして定期的に歯科医院でメンテナンスを行うことで少しでも差し歯による口臭を改善するようにしましょう。
2018年06月22日
口臭予防はエチケットおよびマナーであり、人と会う前や食後に口臭はないかどうか気になることでしょう。口臭予防の中でも、ガムを噛むという人は非常に多いのではないでしょうか。今回は口臭予防に効果があるガムについてご紹介します。
口臭予防にガムが効果的なのはなぜ?
ガムを噛むと、まずお口の中にガムの香りや爽快感が広がることですっきりとした感じがします。特にミント系の爽快感は食後の匂いをカバーしてくれる効果があり、ミント系のガムを携帯している人も多いことでしょう。外出先などで食後に歯磨きができないときは非常に重宝するのではないでしょうか。
またガムを噛むと、唾液が分泌されます。唾液はお口の中の細菌を洗い流し、増殖を防ぎます。細菌の増殖は口臭の原因に直結するため、ガムを噛むことで唾液が細菌の働きを抑制するため口臭予防に適していると言えます。
ただしガムを噛んでお口の中の匂いを軽減する効果は20分程度と言われているため、ガムによる口臭予防はあくまでも一時的なものと考えるほうがよいでしょう。
口臭予防効果のガムを選ぶポイント
市販のガムは色々なところで売られており、種類も豊富です。「ガムなんてどれも同じであとは好みの問題」「ガムさえ噛んでいれば口臭予防になる」と考えるかもしれませんが、ガムを選ぶのにもポイントがあるのです。
・成分表に「フラボノイド」「クロロフィル」と記載があるものは消臭効果が高い
・キシリトール配合
・固めの粒ガム
ガムに含まれる成分に消臭作用があるものを選ぶと気になる匂いを一時的に軽減させることができます。
成分表に「フラボノイド」や「クロロフィル」と書かれているものは消臭効果が期待できます。フラボノイドはポリフェノールの仲間と言われており、消臭効果としてよく知られています。市販品では成分表に「○○茶抽出物」と書かれています。
またクロロフィルは植物や海藻に含まれている天然の成分です。成分表では「銅葉緑素」という成分で記載されています。
キシリトール配合ガムも非常によく目にします。キシリトールは虫歯菌を寄せ付けない天然の甘味料で、噛み続けていても虫歯になる心配はありません。また虫歯菌の活動を抑え、その数を減らす働き、そして口内環境を整える働きも持ち合わせています。
できればキシリトールガムは歯科専売のものがおすすめです。というのも、同じキシリトールガムでも市販品と歯科専売品ではキシリトール含有量が異なり、歯科専売のものはキシリトール100%配合であるためです。市販のものはキシリトール以外の甘味料が含まれており、噛み続けることで虫歯リスクが高まる可能性もあるため、値段は少々高くなりますが口臭予防とともに虫歯予防のためにもできればこちらを選ぶことをお勧めします。
なお同じガムでも、フーセンガムは柔らかいため口臭予防としてあまりおすすめできません。固めの粒ガムは噛み応えがあり、唾液の分泌を促します。またフーセンガムには口臭予防に効果的な成分がそれほど含まれていません。口臭予防効果を考えると、どのガムでもよいわけではなく、やはり成分や効果を考えたものを選ぶようにするとよいでしょう。
ガムだけに頼らず、口内ケアをきちんと行いましょう
ガムによる口臭予防は一時的なものです。食後の匂いだけでなく、常に口臭が気になる人はお口の中に根本的な原因があり、ガムを噛むことだけでは改善できないことがほとんどです、口臭の原因には虫歯や歯周病、口呼吸などによる乾燥などが考えられます。毎日の歯磨きはもちろん、歯科医院でチェックし、口内環境を改善しながら補助的にガムを噛むとより口臭予防効果が得られるでしょう。
2018年06月21日
お口の中は細菌の倉庫です。虫歯菌や歯周病菌といったトラブルを起こす細菌をはじめとして、お口の中には非常に多くの細菌が存在しています。いったいどのくらいの数の細菌が存在しているのでしょうか。
口の中は細菌だらけなのです
体の中で細菌が多い場所と聞くと、多くは肛門もしくは腸内という答えが返ってくるのではないでしょうか。しかし体の中で最も細菌が多い場所は、実はお口の中なのです。
口の中は細菌が非常に繁殖しやすい場所であり、びっくりするかもしれませんがその数は肛門よりも多いそうです。
成人の口では300~700種類の細菌が存在し、歯をしっかりと磨いている人でも1000~2000億個、あまり磨かない人では4000~6000億個、そしてほとんど磨かない人に至っては1兆個もの細菌が生息していると報告されています。
自分の口の中が細菌だらけと聞くと、ものすごく気持ち悪くなるかもしれませんが、どんなに歯をきちんと磨いても、口腔内にはこれほどの細菌が棲みついているのです。
口腔内に棲みつく細菌とは
口の中に存在する細菌には非常に多くの種類があり、よく知られている虫歯菌と呼ばれるものではミュータンス菌やラクトバチルス菌など、歯周病菌では親玉であるPg菌という菌を筆頭に約800種類を超える細菌があると言われています。
またカンジダ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌など全身疾患の原因菌なども含まれており、これらは免疫力が低下すると増殖して病気を発症させる原因になります。
しかしこれほどの数の細菌のほとんどは日和見菌と言われる、通常ではなにも悪いことをしない菌であり、その数は絶えず変動しているようです。免疫力が低下したり、口腔内の衛生環境が悪くなると細菌の働きに変化が起き、口の中や全身に何かしら影響が出てくるでしょう。
細菌の働きを抑制する唾液
想像もつかないような数の細菌が私たちの口の中に存在するわけですが、これらの細菌の働きを抑制するのが唾液です。唾液は天然の薬とも言われており、唾液に含まれる成分が細菌を洗い流してくれます。唾液はしっかりと噛むことでたくさん分泌されます。毎日のブラッシングだけでなく、食事の時はよく噛んでしっかりと唾液を分泌させることが、口腔内の細菌の増殖を抑制できるため、よく噛んで食べることを意識しましょう。
就寝時は唾液の分泌が減少する半面、細菌が増殖する時間帯でもあります。そのため起床時の口の中は細菌が爆発的に増殖している状態です。当たり前ですが、寝ている間は噛むことができません。細菌の増殖を少しでも抑えるためには、寝る前の歯磨きが最も大切です。寝る前にはしっかり歯を磨き、少しでも細菌を減らしておきましょう。
また起床時の歯磨きも忘れないようにして下さい。朝食後でいいのでは?と思うかもしれませんが、先ほども述べた通り、寝起きは一日の中で最も細菌が多く存在しています。寝ている間に増殖した細菌を歯磨きによって減らさなければいけません。
唾液の分泌および寝る前と起床時の歯磨きが、細菌の活動を抑える大きなポイントです。
細菌の活動を活発にさせない口腔内環境づくりが大切
お口の中の細菌の数についてお話しました。どんなに頑張って歯磨きをしても、細菌をゼロにすることはできません。大切なことは、細菌の活動や増殖を抑えるため、唾液をしっかり分泌させることと寝る前、起床時の歯磨きです。また歯科医院でのメンテナンスも非常に大切です。毎日のケアと歯科医院でのメンテナンスで口腔内のケアをしっかりと行うように心がけましょう。
2018年06月20日
歯の表面を覆っているのはエナメル質であることを知っている人は多いと思います。エナメル質で覆われた内部には色々な組織がありますが、その中のひとつである「歯根膜」がどんな働きをするのか知っている人はそう多くはないでしょう。今回は歯根膜の役割について説明します。
歯の構造について
歯根膜の働きについて説明する前に、まず歯の構造を知っておきましょう。
まず歯冠と呼ばれる歯の部分はエナメル質、象牙質、セメント質そして歯髄から成り立っています。
歯の表面を覆っているのはエナメル質で、体の中で最も硬い組織です。エナメル質の内部は象牙質で、歯の大部分を構成している分厚い組織です。象牙質はセメント質という薄い膜で覆われており、象牙質の内側には歯髄と呼ばれる、いわゆる神経が通っています。虫歯が神経まで到達すると激しい痛みを感じます。
歯冠を支えているのは歯肉、歯槽骨そして歯根膜で、これらの組織を歯周組織と言います。
歯肉とはいわゆる歯ぐきのことです。そして歯を支えているのは歯槽骨と呼ばれる顎の骨で、歯根膜とは、歯の根の周りにある組織で、幅がわずか0.15~0.38という大変薄い膜です。この薄い膜がいったいどのような役割を持っているのでしょうか。
非常に大切な役割を持つ歯根膜
歯根と歯槽骨の間にある、わずか0.1ミリ程度の薄い膜である歯根膜の役目をまずご紹介します。
・噛んだ時の力を吸収、分散して歯や骨にかかる力を和らげるクッションのような役目を持つ
・歯にかかる力を刺激として脳に伝え、全身のバランスに影響を与える
歯は噛むとかなり大きな衝撃を受けます。しかし歯根膜はクッションのような役割を持っているため、噛んだ時の衝撃をから歯や周りの骨を守ります。
また硬さや柔らかさを判断して噛み応えを感じる役割、そして咬合力を調整する役割を持っています。
この歯根膜はたいへん敏感であり、髪の毛のような細いものにも刺激として感じ取ります。
また矯正治療で歯を動かすことができるのも、この歯根膜があるからです。したがって、人工歯根であるインプラントには歯根膜は存在せず、インプラント体と歯槽骨が直接結合するため、矯正治療のように歯を動かすことはできません。
歯根膜炎に注意!
歯根膜に炎症が起こると痛みとなって現れます。歯根膜炎になる原因として、虫歯や歯周病、歯ぎしりによる炎症、根管治療後の炎症、歯の破折や外相による炎症などが挙げられます。これらの原因により治療法が異なるため、違和感があるときは早めの受診をお勧めします。
2018年06月19日
生活習慣病の一つである歯周病は、日本人の約8割が罹患していると言われています。
この歯周病ですが、実は咀嚼と大きく関係していることをご存知でしょうか。今回は、歯周病と咀嚼の関係についてお話を進めていきたいと思います。
なぜ歯周病になるのか
歯周病は、歯周病菌に感染することで歯ぐきなどの歯周組織に炎症が起きる病気です。歯だけが溶けてしまう虫歯と異なり、歯周病は歯ぐきや歯を支える歯槽骨にまで影響するため、お口全体の健康を損ねることが特徴です。
歯周病の始まりは、まず歯肉炎です。歯肉炎そのものはブラッシング不足によるもので、小学生や中学生などといった若年層にも比較的よく見られます。成人すると、歯肉炎から歯周炎へと進行することが多く、中高年層においてはほとんどの人が歯周病に罹患していると言ってよいでしょう。
歯肉炎や歯周炎の原因は、プラークです。お口の中には非常に多くの細菌が存在しますが、プラークは、食べかすの中にある糖分を栄養素として作られた細菌の塊です。歯と歯ぐきの境目に、白くネバネバとしたプラークが付着したところへ歯周病菌が棲みつき、毒素を出して歯ぐきに炎症を起こします。この状態が歯肉炎で、歯ぐきが腫れる、ブラッシング時に出血するなどの症状が出ます。
行えば歯肉炎は改善されますが、このまま口腔内の衛生環境が改善されない場合、歯肉炎がやがて歯周炎へと進行し、口臭が強くなる、歯が揺れ動くなどの症状が出てきます。そして歯周病菌が顎の骨まで吸収する重度歯周炎になると、歯がグラグラして噛めなくなり自然に抜け落ちる、あるいは抜歯となって歯を失うことになります。
また口腔内だけでなく、歯周病は糖尿病の悪化や脳梗塞、心筋梗塞、妊婦に対する早産や低体重児出産リスクなど、全身の健康にも関わってくることが報告されています。
このように、悪くなった歯そのものだけに症状が出る虫歯と異なり、歯周病は体にとっても非常に怖い病気であることがおわかりいただけると思います。
咀嚼と歯周病との関連性とは?
歯周病は歯周病菌による感染症です。プラークや歯石が溜まり、そこへ歯周病菌が棲みつくことで歯周病が発症するため、プラークを溜めないようにすることが大切です。そのためにはまず家庭でのブラッシングが基本となりますが、それ以外に注目すべき点が「咀嚼」です。
つまりよく噛んで食べることは、歯周病予防に大切な役割を担っているのです。
よく噛んで食べると、まず唾液がたくさん分泌されます。唾液には、お口の中の衛生状態を良いものに保つためになくてはならないものなのです。
唾液には歯の表面を修復する再石灰化を促す働きの他に、口腔内の細菌の活動を抑える役割も持っています。歯周病は完治が難しく、再発しやすい病気です。そのため歯周病を治すことよりも、進行を抑えることを目的としたほうがいいかもしれません。
歯周病予防は日常のブラッシングが基本です。そこへしっかりと噛んで唾液を分泌させることを意識すると、より歯周病の進行を抑えることが可能となるでしょう。
またしっかり噛むことは脳を活性化させ、認知症の予防にもなると言われています。歯周病が進行して歯がグラグラしたり、歯を失ってしまうと噛むことが困難になり、唾液の分泌が少なくなってしまいます。唾液が少なくなると口腔内の細菌が増殖し、ますます歯周病が悪化する可能性があります。その上脳への刺激が少なくなると、認知症になるリスクも高くなると考えられます。
このように、噛むことは歯周病にとても深く関わっているのです。
しっかり噛んで唾液を分泌させることが大切
歯周病と咀嚼の関係についてお話しました。しっかり噛んで唾液を分泌させることは、歯周病や虫歯の予防と密接な関係があります。歯周病は予防できる病気です。毎日のプラークコントロールとともに、しっかり噛んで唾液を分泌させることを意識してください。
2018年06月18日
できると非常に痛くて食事も苦痛になる口内炎ですが、口内炎は病気のサインとも言われています。中には怖い病気も潜んでいる可能性もあり、見逃すと手遅れになってしまうこともあります。今回はそんな口内炎についてお話をします。
口の中の不快な症状を引き起こす口内炎
口内炎は、口の中の粘膜に起こる炎症です。唇の裏側や頬の内側、舌、歯ぐきなどに発症し、白い円形のものから赤く腫れ、潰瘍と化するものなどがあります。
誤って噛んだところが口内炎になることがよくありますが、それ以外でも虫歯や被せ物、入れ歯のバネや矯正装置などが当たって口内炎ができることもしばしばあります。
口内炎は比較的よく起こる症状で、ほとんどの人が経験していることでしょう。そのため「また口内炎か」「放っておいたらそのうち治るだろう」と思われがちですが、実は口内炎ではなく口腔がんやその他の病気だったということもあるため、たかが口内炎と放置しておくことは非常に危険なのです。
口内炎の種類
口内炎には様々な種類があります。まずは口内炎の種類をご紹介します。
・アフタ性口内炎
もっともよく起こる口内炎で、誤って噛んだ時などに粘膜が傷ついて炎症を起こします。白い円状の腫れとともに周囲が赤く腫れて痛みを伴います。
・カタル性口内炎
歯の被せ物が合っていない、矯正装置や入れ歯のバネが当たるなど、物質的な影響で起こる口内炎です。
・ウイルス性口内炎
細菌やウイルスにより起こる口内炎です。ヘルペス性口内炎、カンジダ性口内炎が代表的です。特にヘルペスウイルスによる口内炎は再発しやすく、疲労や病後の抵抗力の低下などで繰り返すことがあります。
なおヘルペス性口内炎に代表されるウイルス性口内炎は、ウイルス感染のため唾液などから他の人に感染する恐れがあります。タオルや食器などの共有は避けるようにして下さい。
いっぽうカンジダ性口内炎は、カンジダ菌というカビの増殖により起こる真菌性口内炎です。カンジダ菌は常在菌のため、抵抗力が低下している時に起こりやすくなります。また乳幼児や高齢者、糖尿病などに罹患している人も起こりやすいと言われています。
・アレルギー性口内炎
金属や果物、薬などのアレルギーによる口内炎です。原因となるアレルギーを除去し、投薬治療を行います。
怖い病気かも!注意すべき口内炎について
上に挙げた口内炎以外にも、病気によって起こる口内炎があります。そのままにしておくことで重症化する、または命にかかわることも考えられますので、十分な注意が必要です。
・ベーチェット病
自己免疫疾患のひとつで、原因不明と言われています。口の中全体に1センチ程度の口内炎が繰り返しできます。それ以外に目の症状や、皮膚の炎症が現れます。
・尋常性天疱瘡
こちらは重度の自己免疫疾患で、そのままにしておくと命に係わる場合があります。
痛みのない水ぶくれが口の中や皮膚、粘膜に大量に発生し、やがて水ぶくれが破れてただれてしまうと痛みを伴います。重症化すると命に係わるため、きちんと治療を受けることが大切です。
・白血病
血液のガンである白血病の初期症状に、口内炎ができ始めることがあります。白血病になると免疫力が低下するため、口内炎が繰り返しできる上、治りにくくなります。
微熱が続く、鼻血が良く出る、あざができやすくなるなどの症状も現れてきます。
・口腔ガン
口の中にできた口内炎が何週間たっても治らない場合や、痛くない場合は口腔がんが疑われます。その他にしたがしびれる、つれたような感じがする、首のリンパが腫れているなどの症状が見られます。
・舌ガン
舌にできるガンで、口の中のガンの約半数を占めると言われています。舌にしこりを伴った口内炎がある場合、注意が必要です。
気になる症状がある場合や、2週間以上口内炎が治らない場合は病院へ
よく見られる症状とはいえ、その中には怖い病気が潜んでいるかもしれない口内炎についてお話しました。たかが口内炎と思わず、気になる症状がある場合、または2週間以上たつのに口内炎が治らない場合は、速やかに受診するようにして下さい。
2018年06月15日
歯並びの悪さにも色々ありますが、その中でも出っ歯にコンプレックスを感じる方は非常に多いのではないでしょうか。この出っ歯ですが、審美的な問題だけでなく、実は健康にも悪影響があると言われているのです。出っ歯が健康に与える影響とはいったいどういうことでしょうか。
出っ歯になる原因とは
まず出っ歯になる原因を挙げてみましょう。
出っ歯になる原因は、遺伝が関わる先天性のものと、悪癖など生活習慣による後天的なものがあります。
先天的な原因は骨格から歯の生え方が遺伝したものです。
対する後天的な原因は、指しゃぶりなどに代表される癖です。その中で最も多く見られるのが、幼少期からの長期的な指しゃぶりです。小さな子供はよく指しゃぶりをしますが、この癖が長引いてしまうと、歯の生え方に大きく影響してしまいます。
また舌で歯を押す癖や下唇を噛む癖、口呼吸も前歯が出る原因になります。それに加え、奥歯で噛んだときに前歯に隙間が空いてしまう「開咬」という不正咬合にも繋がってしまう可能性があります。出っ歯に開咬が重なってしまうと非常にやっかいになってしまいます。
出っ歯が健康に与える影響とは
では次に出っ歯が健康に与える影響についてお話します。
・噛み合わせが悪くなって消化不良を引き起こしやすくなる
出っ歯になると噛み合わせが悪くなることがほとんどです。噛み合わせが悪くなると当然咀嚼機能が悪くなります。その結果食べ物を噛み砕きにくくなり、消化不良を引き起こす原因となってしまいます。
・開咬を併発しやすくなる
出っ歯は開咬という不正咬合を引き起こしやすくなってしまいます。開咬とは奥歯で噛んだとき、上下の前歯の間に隙間ができる噛み合わせで、奥歯がすり減ってしまうなどの大きなリスクがあります。
・口呼吸によりウイルスを体内に取り込みやすくなる
呼吸は普通、口を閉じて鼻から行います。ところが口がぽかんと開いてしまう人や出っ歯のため唇を閉じにくい人は口呼吸を行ってしまいます。口呼吸は体にとって非常に悪い癖であり、健康にも影響が出てしまいます。
口呼吸は鼻呼吸に比べるとウイルスや細菌が侵入しやすく、インフルエンザなどにかかりやすくなると言われています。出っ歯は唇が閉じにくいためどうしても口呼吸になってしまうのです。
・ドライマウスになりやすい
ドライマウスは、口の中が乾燥する症状です。口呼吸と同じように、出っ歯は口が閉じにくいことから口の中が乾燥しやすく、口腔内の細菌が増えてしまうため、虫歯や歯周病リスクが高くなります。特に歯周病は口の中だけでなく、全身の健康にも深く関わってしまいます。
見た目だけでなく、健康にも影響する出っ歯
出っ歯による健康への影響についてお話しました。
見た目が気になる出っ歯はそのままにしておくと健康にも影響が出てしまう可能性があります。また出っ歯に対するコンプレックスを抱えてしまうことはストレスにも繋がりかねません。出っ歯は矯正治療で改善が可能です。歯並びを整えることで審美面はもちろん、正しい噛み合わせと悪癖の改善により、健康的な生活を手に入れることができることでしょう。
出っ歯でお悩みの方は、まず歯科医院や矯正歯科で相談してみて下さい。
2018年06月14日
「噛む」という普段何気なく行っている動作が、実は非常に重要な役割をもっていることをご存知でしょうか。「しっかりと噛む」ことは、体や脳の健康と深く関わっているのです。今回は「噛むことの重要性」に着目してみたいと思います。
噛むことの重要性とは
「しっかり噛んで食べましょう」と言われるのには、様々な理由があります。お口の中の健康はもちろん、体の健康、そして美容にも関わる「噛む」ことの重要性をまず挙げてみましょう。
・虫歯や歯周病を防ぐ
・口臭を防ぐ
・消化を助ける
・脳の老化や認知症を予防する
・ダイエットを助ける
・顎の発達を促し、歯並びの改善のトレーニングになる
ざっと挙げただけでもこれだけの効果を持っています。
まずしっかり噛むと、唾液が分泌されます。唾液には食べ物の残りカスや口腔内の細菌を洗い流す作用があるため、しっかり噛んで唾液を出すことで、虫歯や歯周病の予防になると言えます。
また唾液には再石灰化を促す成分が含まれており、飲食後の脱灰により溶けた歯の表面を修復する大切な役割を持っています。
そしてしっかり噛んで唾液分泌を促すことで、お口の中の乾燥を防ぎ、口臭を予防します。
お口の中は非常に多くの細菌が棲みついており、お口の中が乾燥することで口臭の原因になってしまいます。よく噛むことは、唾液分泌のために大変重要なのです。
よく噛んで食べることは、消化を助けて胃腸の負担を減らします。そして顎をしっかりと動かすことで、脳への血の循環を促し、お口の周りの筋肉や舌を鍛え、脳を活性化させてくれます。脳が活性化すると、脳の老化や認知症などを防ぐことに繋がることが報告されています。
そしてダイエットにも効果を発揮すると言われています。よく噛まず、次から次へと食べ物を口の中へ入れる早食いは、いつまでも満腹感を得られず、つい食べ過ぎて肥満の恐れが出てきます。
よく噛んで食べると満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防止することができます。
これは自然にダイエットにも繋がるため、噛むことは美容にも繋がると言えるでしょう。
小さなお子さんの場合、歯並びと顎の大きさは非常に深い関係があります。しっかり噛んで食べることで顎の骨の発達を促し、永久歯が生え揃うために必要なスペース確保のトレーニングにもなります。柔らかいものばかり食べていると顎が発達せず、永久歯が並ぶスペースがなくなって歯並びが悪くなります。
しっかり噛むことは、顎の骨の発達に非常に重要なのです。
よく噛むことは、健康的な生活へ繋がります
噛むことの重要性についてお話しました。
しっかり噛んで食べることは私たちの健康な生活の基本です。噛むことでお口の中と脳や体が鍛えられます。また表情も生き生きとして、毎日が笑顔で過ごせることでしょう。
健康な毎日のためにも、しっかり噛んで食べることを意識してください。