2018年12月25日
虫歯でないのに冷たいものや甘いものが滲みる場合、知覚過敏が考えられます。では知覚過敏はなぜ起こってしまうのでしょうか。今回は知覚過敏の原因を中心にお話をしたいと思います。
知覚過敏とは
知覚過敏とは、冷たいものや甘いもの、歯ブラシの毛先が触れたときなどに感じる一過性の痛みです。痛みを伴って受診しても、虫歯や神経の炎症などの所見がない場合、一般的に知覚過敏と診断されます。
痛みを感じるのは、神経を覆っている象牙質です。歯の表面のエナメル質は痛みなどの感覚を感じることはありません。しかし何らかの原因で象牙質が露出してしまうと、外からの刺激が神経に伝わり、痛みとして感じるようになります。
痛みを感じるのは、虫歯が象牙質まで達したときです。しかし虫歯ではないのに滲みる、痛むなどの症状が見られる場合、露出した象牙質に刺激が加わって痛みを感じるため、知覚過敏と診断されることが多いようです。
知覚過敏の原因について
ではなぜ知覚過敏が起きてしまうのでしょうか。主な原因を以下に挙げてみます。
・歯肉の退縮
過度のブラッシングや加齢により、歯肉が退縮してしまうと歯の根元が露出してしまいます。歯の根元はエナメル質がなく、歯ぐきが下がると象牙質がむき出しになってしまうのです。この状態で冷たいものなどの刺激が加わると、一過性の痛みとして感じることがあります。
・歯石除去後
歯の表面や根元に歯石が大量に付着している場合や硬い歯石が付着している場合、歯石除去後に一時的に痛みを感じることがあります。これは歯石に覆われていた根元が、歯石除去を行ったことで露出されたためです。
・歯の破折
口元をぶつけて前歯を折ってしまった際、象牙質が露出してしまうことがあります。象牙質が露出することで知覚過敏を起こすことがあります。
・歯の磨耗や酸蝕症によるもの
歯軋りなどを断続的に行うことで歯が磨耗し、象牙質が露出してしまうことがあります。また酸性の強いものを頻繁に摂取することで歯の表面が溶ける「酸蝕症」も象牙質が露出するため、知覚過敏が起こってしまうことがあります。
・ホワイトニングによるもの
オフィスホワイトニングやホームホワイトニングなど、ホワイトニングを行ったあとに知覚過敏が起こる場合があります。これはホワイトニングで使う薬剤による影響と考えられますが。そのほとんどは一過性のものです。なおホームホワイトニングを行うときは、決められた装着時間を必ず守るようにしてください。長時間ホワイトニングジェルを流し込んだマウスピースを装着すると、ひどい痛みに襲われることがあります。特に濃度が高いものは、必ず装着時間を守るようにしてください。
知覚過敏の治療法および予防について
知覚過敏は病変ではなく、あくまで一過性の痛みです。そのため決定的な治療法はなく、歯にしみ止めを塗布する、あるいはレジンで露出した部分を埋めるといった処置で痛みを抑えます。なおあまりにも痛みがひどい場合は、神経を取り除くこともありますが、よほどのことでない限り神経を除去することはありません。
知覚過敏の予防法は、歯周病を悪化させない、ゴシゴシと力強くブラッシングしないことが中心です。また歯軋りの癖がある人は、歯軋りをしないようにする、ホワイトニングの際はしみ止めを塗ってからホワイトニングを行うことなどで、ある程度知覚過敏を予防することは可能となるでしょう。
2018年12月20日
「ドライマウス」という言葉を聞いたことはありませんか。ドライマウスとは、唾液の分泌量が減って口の中が乾燥する症状です。唾液が少なくなると様々な問題が生じますが、ドライマウスを改善し、唾液の分泌量を増やすためには唾液腺マッサージが効果的です。
ドライマウスの原因について
口の中が乾燥するドライマウスは唾液の分泌量の低下により起こる症状です。ドライマウスは病気ではありませんが、口の中が乾燥すると口腔内のトラブルを引き起こしてしまいます。ではドライマウスの原因にはどのようなことが考えられるのでしょうか。
・糖尿病や腎臓病などの全身疾患
・ストレスや筋力の低下
・薬の副作用
・加齢
糖尿病などの全身疾患によりドライマウスになることもありますが、加齢がひとつの大きな要因で、加齢とともに唾液の量が減る傾向にあります。
また近年はストレス社会と言われており、若い人でもドライマウスになる人が増えています。常にストレスと背中合わせの状態に置かれている人も多いことでしょう。緊張すると口の中がカラカラになって喉の渇きを感じやすくなります。
それに加え、ファストフードに代表されるように、最近では柔らかいものしか噛まなくなるような食事内容が増えたことも、唾液分泌量の低下に繋がっています。しっかり噛むことで唾液はたっぷり分泌されるのですが、柔らかいものの場合、あまり噛むことなく飲み込んでしまいます。そのため噛む筋力が落ちて唾液分泌量が低下してドライマウスに繋がってしまうのです。
ドライマウスによって引き起こされる問題点
ではドライマウスになるとどのような症状が起きやすくなるのでしょうか。
・虫歯や歯周病
・口臭
・舌の痛み
・誤嚥性肺炎
唾液分泌量が減ってしまうと、口腔内の細菌が増えてしまいます。そのため虫歯や歯周病になりやすいということがまず考えられます。
ドライマウスは口臭の原因にもなってしまいます。口の中が乾くと細菌が爆発的に増殖し、強い口臭を引き起こしてしまいます。その他粘膜が乾いて舌に痛みを感じたり、高齢者などは誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。
唾液をたっぷりと出すための唾液腺マッサージ
ドライマウス自体は病気ではありません。しかし唾液が少なくなることでお口の中の問題点を引き起こすきっかけとなってしまうため、唾液をたっぷりと出すことが改善点および予防と考えられます。
そこでご紹介するのが、唾液の分泌を促す「唾液腺マッサージ」です。「耳下腺」「舌下腺」「顎下線」を刺激して唾液を分泌させることで唾液分泌を促進し、ドライマウスを改善する効果が期待できます。
・耳下腺のマッサージ・・・人差し指から小指までの4本の指を頬に当てて、上の奥歯あたりを後ろから前へ向かって10回まわす
・舌下腺のマッサージ・・・顎の真下にある舌下腺に、両手の親指をそろえて下からゆっくり押し上げる
・顎下線のマッサージ・・・親指を顎の骨の内側の柔らかい部分に当てて、耳の下から顎の下まで5箇所くらいを順に押す
唾液マッサージでたっぷりの唾液を分泌させましょう
唾液が少なくなると虫歯や歯周病など、様々な口腔トラブルを引き起こしてしまいます。ドライマウスは症状に応じた対処が必要ですが、自分で口腔ケアを行うことも大切です。
毎日唾液腺マッサージを行って、唾液をたくさん出すようにしてみて下さい。
2018年12月17日
インプラントは、入れ歯やブリッジにはないメリットが多い治療法です。特に前歯は入れ歯、ブリッジではなくインプラントにするほうがメリットは多いと考えられます。ではなぜ前歯を入れ歯やブリッジではなく、インプラントによる治療が適しているのでしょうか。
入れ歯、ブリッジとの違いとインプラントの特徴
同じ噛む機能を取り戻す方法でも、入れ歯とブリッジ、インプラントでは特徴が大きく異なります。まずインプラントは機能面、審美面ともに優れていることが挙げられます。
その他入れ歯、ブリッジは保険適用であること、インプラントは自費治療であることが違いのひとつです。費用面で考えると、保険適用の入れ歯やブリッジのほうが・・・と考えてしまうことでしょう。
しかしインプラントで注目すべき点は、他の歯に影響を与えることなく治療が行えることです。特にブリッジは、健康な両隣の歯をたくさん削らなければいけません。歯をたくさん削ると、土台となる歯の寿命が短くなってしまいます。
また保険の前歯のブリッジは、表側は白いレジンで作られています。レジンは作製当初はきれいな白色ですが、傷がつきやすく劣化しやすいという欠点があります。使っているうちに汚れがついてくるため、黄ばみやくすみが生じてきます。
保険の前歯の入れ歯の場合、目立つ部分に金属のバネがかかります。またバネをかけた歯にダメージがかかりやすく、歯周病などのリスクが高まってしまうなど、バネをかけた歯の寿命に影響してしまいます。
スマイルデンチャーなど自費の入れ歯なら見た目は大きく改善され、バネによる歯のダメージは避けることができますが、噛む力はインプラントと比べると劣ってしまいます。
インプラントは機能性、審美性ともに優れているだけでなく、他の歯に影響を与えることがほとんどなく、他の歯の健康を保つことができることが最大のメリットと言えるでしょう。
前歯をインプラントにするメリットとは?
奥歯に比べて前歯は審美性が大きく影響します。保険のブリッジでは、いずれレジン部分の劣化が起こり、審美面を大きく損ねることが予想できます。そのため数年で再治療が必要となるケースがほとんどです。
前歯をインプラントで治療を行うと、ほとんどの場合人工歯にオールセラミックやジルコニアセラミッククラウンが使われます。この両者は審美性に大変優れており、耐久性に優れているため美しさをキープすることができます。
またメンテナンスをきちんと行えばインプラントを長持ちさせることが可能であるため、再治療を行う確率がグンと低くなります。
しかし前歯は歯を支える歯槽骨が薄いため、インプラントが難しい部位でもあります。高度な技術と設備が整っている歯科医院で臨むことが望ましいでしょう。
インプラント治療を成功させるためにも、前歯のインプラントを検討している方は、インプラントの実績や症例が豊富な歯科医院を選ぶようにするようにして下さい。
2018年12月13日
口臭は数あるエチケットの中で最も気をつけなければならないものであり、最近では口臭対策グッズもたくさん販売されています。しかしいくら口臭対策を行っても、根本的な原因を取り除かないと、いつまでも口臭が改善されません。その原因のひとつに舌に白い苔のようなものが付着する「舌苔」があります。今回は舌苔についてお話いたします。
舌苔とは?
「舌苔」は「ぜったい」と呼び、舌に付着した白い汚れのことを言います。
この舌苔は、舌の表面や舌乳頭と呼ばれる突起の間に付着した細菌や、はがれ落ちた粘膜細胞、食べかすなどの塊です。見た目が白い苔のように見えることから「舌苔」と言われています。
舌苔は細菌の温床であり、口臭の大きな原因です。舌苔をそのまま放置しておくと強い口臭だけでなく、誤嚥性肺炎や味覚障害など、様々な口腔内トラブルの原因になってしまいます。
舌苔が付着する原因について
鏡を見ながらお口を開けて、舌を出してみてください。舌の奥のほうに、白くなっている部分はありませんか?舌苔は、主に高齢者によく見られがちですが、健康な人でも舌苔が付着することがあります。ではどのようなことが原因で舌苔は付着してしまうのでしょうか。
- 口腔内の状態が不衛生
- 唾液分泌量が少ない
- 口腔内が乾燥気味
- 胃腸の調子が悪い
舌苔が付く主な原因は、お口の中の衛生状態が悪いことです。お口の中は細菌がたくさん棲みついており、歯みがきがきちんと行われていないと細菌は爆発的に繁殖して舌苔ができやすくなってしまいます。
また唾液分泌量が少なく、お口の中が乾燥すると舌苔が付きやすくなります。唾液は細菌を洗い流して増殖を防ぐ働きがあります。しかし唾液の分泌が少なくなるとお口の中が乾燥して細菌が急増します。
高齢者に舌苔が多いのは、加齢ととともに唾液分泌量が減るためです。また持病などで薬を飲んでいる場合も、舌苔が作られてしまうことがあります。飲んでいる薬の副作用により、唾液分泌量が少なくなることがあるため、舌苔ができる原因となってしまいます。
そして胃腸の具合が悪いときも、舌苔ができやすくなります。胃腸の調子が悪くなると免疫力が落ちて、細菌が繁殖しやすくなるため舌苔が付きやすくなると言われています。
舌苔が付かないようにするために
舌苔が付かないようにするためには、まず口腔内が不衛生にならないようにすることです。毎日の歯みがきで、お口の中を清潔に保つことが大切です。
また唾液をたっぷりと出すようにしっかりと噛むことも大切です。噛み応えのあるものや、食後のキシリトールガムなどでよく噛んで、唾液の分泌を促すようにしましょう。
そして付いてしまった舌苔を取ることで、口臭の予防ができます。ここで注意したいのは、歯ブラシで強くゴシゴシと磨かないことです。歯ブラシで強く磨くと、舌の粘膜がはがれてしまうため、かえって舌苔が付着しやすくなります。また舌の粘膜を痛める原因にもなるため、歯ブラシを使ったケアは禁物です。
舌専用のブラシやジェルなどで軽くこすって落とすようにして下さい。ガーゼで軽く拭うこともおすすめです。
2018年12月7日
一般的に「よだれ」と呼ばれる赤ちゃんの唾液は大人に比べて分泌量が多いのが特徴です。唾液にはお口の中の健康にとって非常に大切な成分がたくさん含まれており、特に虫歯予防に対して欠かすことができません。今回は赤ちゃんのよだれと虫歯予防に焦点を当ててお話したいと思います。
赤ちゃんのよだれについて
赤ちゃんのよだれの量はとても多く、一日に1.5リットルも分泌されると言われています。
健康な大人の場合、唾液は口の周りの筋肉によって口の外に出ることはまずありません。
しかし赤ちゃんの場合、口周りの筋肉が未発達であることと、脳からの伝達が未熟であるため、反射的に口を閉じたり唾液を飲み込むことがまだ難しいことから、よだれとして口の外へ流れてしまいます。
このよだれ、つまり唾液には自浄作用があり、お口の中の細菌を洗い流す働きとともに、細菌の繁殖を抑え、歯の再石灰化を促す役目も持ち合わせています。つまり唾液はお口の中の健康に欠かすことができないのです。
特に乳歯が生え、離乳食がはじまって色々な食べ物を食べるようになると、虫歯の心配が出てきます。唾液は細菌を洗い流すのに必要なため、赤ちゃんのよだれは多くても気にしなくて構いませんが、お口周りが荒れてしまうことがあります。よだれが出ていたら水で湿らせたガーゼで軽く拭いてあげるとよいでしょう。
赤ちゃんの虫歯予防について
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中に虫歯菌は存在しません。虫歯になってしまうのは、4つの要因が重なることといわれており、そのひとつが虫歯菌(ミュータンス菌)の存在です。
赤ちゃんのお口の中に何らかの原因でミュータンス菌が入り込んでしまうと、虫歯リスクを抱えてしまうことになります。その最も大きな原因が、「虫歯菌を有している人が使った箸やスプーンなどで赤ちゃんに食べ物を与えること」です。
虫歯菌は感染症のため、ひとたびお口の中に細菌が入り込んでしまうことで虫歯になる環境が整ってしまうのです。
そして砂糖を含む食べ物を口にすることで、さらに虫歯リスクが高まります。赤ちゃんや幼児は甘いものを好む傾向があり、いちど甘い美味しさを知ってしまうと、甘い味をねだられてしまいがちです。そしてつい糖分をたくさん含んだものを与えることで、虫歯を作ってしまうのです。スポーツドリンクや小さな子どもが好む乳酸菌飲料も、多量の糖分が含まれています。
赤ちゃん時代から2、3歳くらいまでの仕上げ磨きは大変です。しかし糖分を極力控えた離乳食や食事を行っておくと、唾液の自浄作用である程度虫歯を予防することが可能です。
もちろん仕上げ磨きは必要ですが、虫歯リスクを極力抑えた食生活で、赤ちゃんの歯を虫歯から守ってあげましょう。
2018年12月6日
「よく噛んで食べること」は、消化吸収を助け、体の健康を作り上げるとともに脳の働きを活発にさせるなど、私たちの健康にとってとても重要なことです。そしてよく噛んで食べることは、口腔内の健康にとっても大きな役割を持っているのです。
よく噛んで食べることでどのような効果を得ることができるのか
まずよく噛むことで得られる効果についてご紹介しましょう。
- 唾液を分泌させ、細菌の増殖を抑える
- 顎の発育を促す
- 脳の働きを活発にする
- 消化を助け、肥満を予防する
口腔内にとってよく噛んで食べることの大きな目的は、唾液の分泌です。唾液には、自浄作用や細菌を洗い流す作用、食後の酸性状態を中和させる作用、歯の再石灰化を促して歯質を強化させる作用など、口腔内にとって非常に重要な役割を果たしています。
唾液の分泌が少ないと細菌が増殖し、虫歯や歯周病を引き起こして歯を失う原因となってしまいます。しっかり噛むことでまず唾液をたくさん分泌させ、歯を失うトラブルを軽減させる効果が得られます。
よく噛んで食べることは、顎の骨の成長をも促します。特に幼少期のころにしっかり噛むことで顎の成長を促進し、よい歯並びへと導くことができます。
またしっかり噛むことが脳の活性化に繋がり、認知症を予防する効果があると報告されています。食事の際にあまり噛まずにいると、脳の活性化を抑制し、認知症に繋がる恐れがあると言われているため、時間をかけてしっかり噛むことが大切です。
そして消化を助け、健康な体を作り出します。噛む回数が少ないといつまでも満腹感が得られず、ついたくさん食べてしまいがちになります。食べすぎは肥満の元であり、肥満は生活習慣病の大きな原因となるため、肥満防止のためにもよく噛むことを心がけましょう。
何回くらい噛めばよいのか
では一口の食事で何回ぐらい噛むことがよいでしょうか。目標は一口を30回噛むことと言われています。しかし食事の最中ずっと数えることは難しく、食事の美味しさを感じにくくなってしまうかもしれません。
食事を始めた頃だけでも意識して30回噛んでみるといいでしょう。
できれば3度の食事の一回だけでも、固い繊維質のものや、大きめに切ったもの、固ゆでのものなど噛み応えのあるものを献立の中に入れてみましょう。しっかり噛まないと喉に通りにくいようにするなど、よく噛むことを目的とした食材を取り入れることをおすすめします。
30回噛むことを目標にすることは大変かもしれませんが、お口の中と体の健康のためにも是非意識してみてください。
2018年11月22日
虫歯は、お口の中に起きるトラブルの中で最も身近なものであり、老若男女問わず罹患率が非常に高いトラブルです。虫歯になる原因はひとつではありません。食事内容や間食の取り方が、虫歯予防になることをご存知でしょうか。
虫歯になる原因とは?
「甘いものばかり食べていると虫歯になる」と聞かされたことはありませんか?虫歯は、虫歯菌が出す酸によって歯が溶ける病気です。よって甘いものだけが虫歯の原因ではありません。しかし砂糖をたっぷりと含んだ食べ物が虫歯を引き起こす大きな要因であることは否定できません。
虫歯になる原因は、4つの要因があり、これらが重なることで虫歯リスクが高まります。
・虫歯菌の存在
・砂糖を多く含んだ食品の過剰摂取
・食べ物が口の中に含まれる時間
・歯質
虫歯は、ミュータンス菌などの虫歯菌がプラークに棲みついて酸を出し、歯を溶かします。そのため、まず口の中に虫歯菌が存在することで虫歯の要因が出来上がってしまいます。
そのミュータンス菌などが好んでプラークを作り出すのが、砂糖です。砂糖をたくさん含んだ食べ物がお口の中に長時間留まると、ミュータンス菌が砂糖をエサにしてプラークを作り出してしまうのです。
また歯質が弱いと歯が酸に溶けやすくなってしまいます。特に乳歯や生えたばかりの永久歯は歯質が弱く、虫歯になりやすいのです。
食事で虫歯を予防するとは?
虫歯になる仕組みを上でご紹介しました。4つの要因が重なることで虫歯になってしまうのならば、逆に虫歯にならないように食事や間食の摂り方などをコントロールすることで虫歯予防を行うことが可能です。
・砂糖の過剰摂取を控える
・間食は時間と回数を決める
・唾液をしっかり出すようによく噛む
まず砂糖の過剰摂取を控えることが大切です。甘いもの=全て砂糖というわけではありません。中にはキシリトールのように虫歯菌が寄り付かない甘味料もあります。しかし大半の飲食物の中に砂糖は含まれているため、過剰摂取を控えることを意識しましょう。特にジュースや乳酸菌飲料、スポーツ飲料は多量の砂糖を含んでいます。だらだら飲み続けると虫歯リスクがぐっと高まってしまうため、時間を決めて、飲む本数は少なくするようにしましょう。
食事の中に、噛み応えのある食材を取り入れてしっかり噛んで食べることも大切です。唾液には、虫歯菌が出す酸によって酸性に傾いた口の中を中和する働きがあります。また酸によって溶かされた歯の表面(脱灰)を修復する再石灰化という非常に大切な働きを持っているため、虫歯予防という意味で唾液はとても優れた作用を持っているのです。
繊維質のものなどを取り入れてしっかり噛むことで唾液をたくさん分泌させましょう。
食後にキシリトール100%ガムを噛むこともおすすめです。
日常の食生活の見直しを
ただ歯みがきを行っているだけでは虫歯予防とは言えません。しっかり磨いていてもすぐ虫歯になる人は、食生活や間食の摂り方に問題があると考えられます。
日常の食生活や間食の取り方を見直すだけで、虫歯になりにくい環境を整えることができます。また歯科医院で敵検診を受診し、定期的にフッ素塗布を行うことで歯質を強化するとなお虫歯になりにくい口腔内環境を整えることができるでしょう。
2018年10月24日
可愛い赤ちゃんの成長を日々感じることはとても幸せなことです。それと同時に、体の健康は勿論、お口の中についても疑問や心配事が出てくる時期でもあります。今回は赤ちゃんのお口の中のケアを中心にお話を進めていきたいと思います。
月齢に応じたお口のケアを行ってあげる
赤ちゃんのお口のケアを行ってあげることは、将来のお口の健康に大きく関わります。
と言っても、まだ歯が生え揃っていない時期はどのようなケアを行えばよいかわからないのも当然です。ではまず赤ちゃんの成長に合わせたケアについてご紹介しましょう。
・授乳が中心の頃・・・離乳食が始まるまで、赤ちゃんは母乳やミルクで影響を補給します。まだ歯が生えていない時期は、唾液がお口の中をきれいにしてくれます。
・歯が生え始めてきた頃・・・個人差がありますが、生後6か月頃から下の前歯が顔を大始めます。可愛らしい歯が生えたら、きれいなガーゼで拭ってあげる程度で十分です。
・離乳食開始・・・離乳食が始まる頃は、少しずつ歯が生え始める時期でもあります。歯磨きに興味を持たせる意味も込めて、赤ちゃんが自分で握りやすい、輪っかのような歯ブラシなどを持たせてあげるとよいでしょう。歯を磨くことはまだまだ難しいため、まずは歯ブラシというものに少しずつ慣れることを目的として考えてみましょう。歯のケアは、引き続きガーゼで拭く程度で十分です。
・離乳食終了後~・・・離乳食が終わるころから少しずつ歯ブラシというものに慣れさせてください。歯ブラシで磨くというよりは、当てるような感じで保護者の方がさっと歯ブラシで磨いてあげましょう。
赤ちゃんの歯を虫歯から守るためには
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯菌は存在しません。ではなぜ小さなお子さんは虫歯になるのでしょうか。それは虫歯菌を持った大人が使ったお箸やスプーンを使って離乳食やおやつなどを与えるからです。
虫歯はミュータンス菌などの虫歯菌による感染症です。まだ無菌状態の赤ちゃんのお口の中に細菌を移してしまうことで、虫歯のリスクを抱えることになるのです。
虫歯になるのは、「虫歯菌」「砂糖」「お口の中に飲食物が含まれる時間」そして「歯質」という4つの要因が重なった時です。
4つ目の要因で挙げた「歯質」ですが、乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄く、酸にとても弱いため虫歯になりやすいのです。当然のことながら、赤ちゃんは自分でお口の中のケアを行うことができません。赤ちゃんや小さな子供の歯を虫歯から守るためには、保護者のケアが大変重要であり、保護者の義務でもあります。
また幼少期の頃から歯科医院で定期的にフッ素塗布を行うことで、歯質を強化して虫歯になるリスクを低くすることが可能です。
赤ちゃんのかわいらしい前歯が生えたときからお子さんの歯のケアや食生活、おやつのあげ方などについてしっかりと考えておきましょう。
2018年10月19日
歯科治療は非常に精密な治療です。そのため肉眼ではごく小さな異変を見落としてしまうことも否定できません。歯科用マイクロスコープはこのような微細な病変を発見し、より精密で正確な治療を行うために使われます。今回は、マイクロスコープについてお話をいたします。
マイクロスコープとは
マイクロスコープとは拡大顕微鏡のことで、肉眼の3~20倍まで拡大することができる装置です。医科においてマイクロスコープはよく使われていますが、精密な治療を必要とする歯科治療においてもマイクロスコープを導入する歯科医院が増えてきました。
目で見てすぐわかるような病変ならともかく、肉眼では発見が難しい病変は意外と多いものです。小さなヒビや歯根破折、う蝕、精密根管治療などは病変の拡大や悪化に繋がることがあるため、マイクロスコープを使うことで見落としを防ぎ、正確な診断とともに精密な治療を行うことが可能となります。
根管治療におけるマイクロスコープの必要性について
数ある歯科治療の中でも、根管治療は日常的に行われる治療です。しかし根管治療は大変精密な治療技術を必要としており、根管治療の成功と失敗はその後の歯の予後に非常に大きく関わります。
根の形状は患者さんによって異なり、中にはとても複雑な形状をしたものもあります。根管治療はほんの少しの細菌の取り残しも許されません。しかし残念ながら、根管治療の再発率はそれほど低いわけではないのです。というのも、根管治療を行う歯科医師の多くは、長年の経験と感覚により行われています。そのため熟練の技術を持っていても、根の形状などにより細菌の取り残しが起こることは否めないのです。
このようなことから、根管治療こそマイクロスコープを使うべきと考えられます。マイクロスコープを使うことで視野が広がり、根の中の状況を正確に把握しながら治療を行うため、根管治療の成功率が格段に上がり、再発率を抑えることが可能となります。
歯科治療の成功率を高めるマイクロスコープを導入した歯科医院を選ぶとベスト
精度の高い治療を受けることができるために必要なマイクロスコープですが、日本国内で導入している歯科医院はまだまだ少なく、全体の5%程度と言われています。
しかしながら、精密な歯科治療の重要性という観点から少しずつマイクロスコープを導入する歯科医院が増えつつあります。ホームページなどで検索するとマイクロスコープを導入しているかどうかある程度わかります。
2018年10月18日
健康な歯を守るために歯医者を受診する「予防治療」の重要性が少しずつ認識されはじめ、定期検診に通う方も増えてきました。しかし海外と比べるとまだまだ日本は遅れているという感が否めません。
未だに根強い「悪くなってから受診する」考え
歯科医院から定期検診の案内が届いたら、あなたはちゃんと予約をしますか?「面倒だから」「今調子悪くないから」などといってそのままにしていませんか。この場合、次に歯医者に足を運ぶときは、きっと歯が痛くなったり、詰め物が取れたときなど何かトラブルが起きた時でしょう。
痛みや詰め物が取れたなどの症状が起きた時は、症状は既に進行しており、ほとんどの場合再治療が必要になります。再治療では歯を削ります。レジンで詰めて終わる場合もありますが、歯を削ることに変わりはありません。歯はいちど削ると二度と元に戻りません。
また気づかない間に歯周病が進行し、慌てて受診したものの歯を残すことができず、抜歯という非常に残念なケースになることも少なくはありません。
このように、未だに「歯医者は歯の調子が悪くなってから受診する」という考えが根強いのが日本の特徴だと言えます。
諸外国における高い予防意識
この結果は、海外の予防治療の受診率と比較しても明らかとなっています。
アメリカやスウェーデンをはじめとした国では予防意識が非常に高く、歯や口腔内への健康意識が日本と比べて比較にならないほど強いと言われています。これは一定年齢における残存歯数で顕著に表れており、その数字を見ると日本はいかに予防意識が低いかということを痛感します。
日本人の80歳の平均残存歯数が平均6.8本という数字に対し、アメリカの85歳の平均残存歯数は15.8本、スウェーデンにおいては75歳の平均残存歯数が19.5本と、非常に高い数字が報告されています。
この数字を見ると、いかに日本の予防意識がまだまだ低いかと言うことがよくお分かりいただけるのではないでしょうか。
日本と違い、アメリカやスウェーデンなどでは、歯が悪くならないために歯科医院を受診することが当たり前という認識なのです。
定期検診の重要性を理解することからはじめましょう
定期検診を必ず受診する人と、悪くなってから受診する人では必ず差が出ます。80歳になっても自分の歯がたくさん残っているか、40代くらいでお口の中が悲惨な状況になっているかなど、その差は歴然です。
定期検診の目的は、お口の中の良い状態をキープすること、そして虫歯や歯周病などを早期に発見し、早期治療へ繋げることを目的としています。「歯が痛くないのに歯医者を受診するのはお金がかかる」と思う人もいるかもしれません。しかし悪くなってから受診すると、費用も時間も必要になってしまいます。また何よりも、大切な歯を失ってしまうことに繋がりかねません。
どんなに優れた技術や補綴物でも、ご自身の歯に勝るものはありません。定期検診の重要性を理解し、いつまでも健康な歯を維持するように心がけましょう。