2019年03月4日
効率的に咀嚼できなかったり、上手く飲み込めなかったりといった口腔機能の不全というのは、高齢の方に多い傾向があります。歯科医院にもそうした患者さんが数多くいらっしゃいますが、昨今、子供の口腔機能不全症というものも問題視されるようになってきました。そのため、口腔機能発達不全症の診断および管理に関して、保険診療で対応できる部分も出てきています。ここではそんな子供の口腔機能発達不全症について詳しく解説します。
口腔機能発達不全症の診断項目
口腔機能発達不全症では、主に「食べる」と「話す」という機能面を診断します。「食べる」とは咀嚼機能や嚥下機能、食行動の3つから構成されています。「話す」は構音機能ですね。
こういった機能に異常が見られないかを検査し、口腔管理が必要かを判断します。ちなみに診断項目には、睡眠時のいびきや口呼吸、口蓋扁桃の肥大なども含まれています。
口腔機能低下症との違い
口腔機能発達不全症と同じような言葉に、口腔機能低下症というものがあります。どちらも口腔機能に異常が現れることに変わりはないのですが、基本的に前者は子供が対象となるものとお考え下さい。具体的には15歳未満ですね。一方、後者は65歳以上が対象で、ドライマウスや咬合力の低下、舌や口唇の筋力低下などが診断項目に入ります。ですから、この2つはそもそも対象となる年齢が大きく違うということを知っておいてください。
口腔機能発達不全症の原因と症状
子供の口腔機能発達不全症の原因は、患者さんによって大きく異なります。まず、咀嚼機能に異常が認められる場合は、歯の萌出に遅れがあったり、虫歯があったりすることが多いです。また、歯並びに異常があると、上下の歯が上手く噛み合うことがなくなり、咀嚼にも異常をきたします。食べ物を噛む時間が短すぎる場合も、口腔機能発達不全症の原因となり得ます。
嚥下機能の異常については、舌突出癖が認められることが多いです。食行動は、食べる量や食べる回数にムラがあると異常が生じやすくなります。構音機能の異常は、口唇の閉鎖不全や口腔習癖、舌小帯の付着異常が原因となりやすいです。
まとめ
このように、口腔機能発達不全症は子供が対象となる病気ですので、お子さんのお口周りで気になる点が認められたら、まずは歯科を受診しましょう。症状によっては保険診療で治療を受けることが可能です。歯医者は口腔機能の専門家でもありますので、適切な改善法を提示することができます。
2019年03月1日
歯並びの異常である歯列不正は、咀嚼や発音、審美性の観点からも改善したい人が多いことかと思います。その解決法として最も確実なのは、矯正治療です。数年に及ぶ歯列矯正を行うことで、歯列不正の多くは改善することができます。けれども、時間と費用がかかるという点では、デメリットも大きいです。そこで気になるのが「飲み方」や「食べ方」を工夫することで、歯列不正を改善することが可能かどうか、という点ですよね。
ここではそんな摂食や嚥下による歯列不正の改善効果について詳しく解説します。
偏った噛み方は歯列不正の原因となる
皆さんは普段、食事をしている時、どちらの歯で噛んでいますか?おそらく、どんなに気を配っている人でも、左右で100%均等に噛めている人は少ないかと思います。これが極端に偏っている場合は、歯列不正の原因にもなるため注意が必要です。上下の歯というのは、本来バランスよく均等に噛みあうようにできていますので、それが左右どちらかに偏ってしまうと、歯や顎にかかる負担もアンバランスとなり、歯並びの悪化を招きます。逆にいうと、普段から左右均等に噛む食べ方を意識することで、歯列不正を改善したり、予防したりすることも可能といえます。
異常嚥下癖には要注意
赤ちゃんには、飲み物や食べ物を飲み込む時、舌を前方に突き出す「乳児型嚥下(にゅうじがたえんげ)」が認められます。これはミルクを飲んでいる赤ちゃんであれば問題ないのですが、固形物を食べるようになってからは、いろいろな問題が生じるため、成人型の嚥下に移行する必要があります。ですから、離乳や卒乳後もこういった飲み方、食べ方が残っている場合は、嚥下法の改善が求められます。ちなみに、嚥下の方法を正常にすることで、歯列不正の改善にもつながります。なぜなら、異常嚥下癖が残存すると、出っ歯や開咬などの歯列不正を引き起こすことが多いからです。
よく咀嚼することが大切
食事をする際、食べ物をしっかりと咀嚼したあと飲み込むことで、消化がしやすくなり、胃や腸への負担を軽減することができます。同時に、歯や歯周組織、口腔周囲期の筋肉へと正常な刺激が伝わり、噛み合わせの改善や顎骨の成長促進へとつながっていきます。ですから、普段からよく噛んで、歯や顎、筋肉をしっかりと活用した上で、飲み込むことを心がけましょう。
まとめ
このように、普段から適切な飲み方や食べ方を実践することで、歯列不正を改善することは可能です。同時に、歯や顎の発育を促したり、消化器への負担を減らしたりできるなど、さまざまな利点があるといえます。
2019年03月1日
慢性の鼻炎など、常に鼻の炎症に悩まされている人は意外に多いものです。おそらく、アレルギーなども関係しているのでしょう。そういった鼻疾患がある人は、鼻で呼吸がしにくいため、口呼吸になりがちです。口呼吸といえば、ドライマウスの原因となるだけでなく、噛み合わせにも悪影響を及ぼすことがあり、不安に感じている方も多いことでしょう。ここではそんな鼻疾患由来の口呼吸で、開咬や出っ歯が誘発されるのか、という点について詳しく解説します。
鼻疾患があると口呼吸になる理由
今現在、慢性鼻炎に悩まされている人ならよくわかるかと思いますが、鼻炎を発症していると、常に鼻水が出ていたり、鼻が詰まったりすることで鼻呼吸が阻害されます。これは風邪にかかった時を想像すると理解しやすいですね。そういった症状が現れると、私たちは自然と口で呼吸するようになるのです。
口呼吸による歯並びへの悪影響
正常な呼吸法というのは「鼻呼吸」を差しますが、鼻疾患など原因で鼻が塞がれてしまうと口呼吸へ移行します。口呼吸では、空気が口腔内を経由して肺へと運ばれていくため、口腔内が乾きやすくなります。また、乾いた空気が気道を通過することで、風邪などにかかりやすくなる傾向にあります。さらに、歯列への適切な圧力がかからなくなるため、開咬や出っ歯といった不正咬合の原因ともなるのです。そう考えると、口呼吸にはデメリットばかりが目立つこととなります。
鼻疾患を治すことが大切
鼻疾患が良くならない以上、口呼吸も改善されることはありません。鼻が詰まっていたり、鼻に炎症が起こっていたりする状況では、無理に鼻呼吸をすることも難しいからです。ですから、口呼吸によって開咬や出っ歯になるのが怖いという方は、まず鼻疾患をしっかりと治療することが大切です。根本的な原因となっている鼻疾患を放置したまま、口呼吸から鼻呼吸に戻そうとしても、上手くいかないことがほとんどです。また、鼻疾患による口呼吸の誘発というのは、あくまで副次的な症状でしかなく、それ以外にも全身に悪影響を及ぼす主症状が存在しているため、鼻疾患をしっかり治すことは全身の健康にも重要といえます。
まとめ
このように、鼻疾患があると、症状によっては口呼吸の誘発へとつながるため、できるだけ早い段階で治療する必要があります。口呼吸は開咬や出っ歯などの不正咬合だけでなく、ウイルスによる感染症にもかかりやすくなるので、あまりにもデメリットが大きいといえます。
2019年02月28日
皆さんは、歯並びが複合的な要因によって決まっているというのをご存知でしょうか。例えば、患者さんの中には、歯並びはすべて遺伝で決まっていて、親が出っ歯なら子供も出っ歯になるとお考えの方もいらっしゃるかと思います。もちろんそれは、部分的には正しいのですが、部分的には間違っているともいえます。なぜなら、口周りの筋肉を鍛えることで改善される不正咬合もあるからです。ここではそんな不正咬合の原因と改善法について詳しく解説します。
不正咬合を引き起こす原因とは
上顎前突や下顎前突、開咬といった不正咬合は、ある程度、遺伝によって発症するかが決まっています。なぜなら、これらの不正咬合というのは、骨格的な異常が原因となるケースも少なくないからです。例えば、上顎の骨がよく発達していたり、逆に下顎の骨の発育が良かったりするというのは、遺伝的要因が大きいといえます。これらはそれぞれ上顎前突や下顎前突を引き起こすこととなります。ただ、骨格的な異常があったとしても、軽度であれば矯正治療や口腔筋機能療法によって改善することも可能です。もしくは、骨格の異常ではなく、筋肉の使い方に異常が認められる場合は、筋機能療法による効果は非常に大きいといえます。
口周りの筋肉を鍛えるメリット
口周りの筋肉は、主に咀嚼する際に活躍します。咬筋や側頭筋などの咀嚼筋が代表ですね。それに加えて、口輪筋を始めとした表情筋も口周りの筋肉に含まれます。表情筋は、その名の通り表情を作るための筋肉ですが、同時に歯列に対する影響力も持っています。
具体的に口輪筋などの口腔周囲の筋肉は、歯列に外側から圧力を加えることで、正常な歯並びになるよう働きかける作用があるのです。ですから、常に口が開いていたり、加齢によって表情筋などが衰えたりすると、歯列に加わる圧力が減り、出っ歯などの歯列不正や不正咬合を引き起こしてしますのです。そういう意味で、口周りの筋肉を鍛えることは、不正咬合の改善に役立つといえます。とくに、まだ成長期で顎の発育などが途上にある場合は、積極的に口周りの筋肉を鍛えることをおすすめします。
まとめ
このように、表情筋や咀嚼筋などは、それぞれ特有の役割を持つと同時に、歯列への影響力も持っているため、小さい頃から適切に鍛えていく必要があります。今現在、歯列不正や不正咬合に悩まされている場合も、口腔周囲筋を鍛えることで、症状の改善が見込めることもあります。
2019年02月27日
お口のトレーニングである筋機能療法は、いろいろな症例に対して有効な治療法ですが、どれくらいの効果が期待できるのかは気になる点ですよね。例えば、筋機能療法だけで、不正咬合が改善するのか、歯並びが大きく変わることがあるのかは知りたいところかと思います。ここではそんな筋機能療法の効果について詳しく解説します。
不正咬合の原因を調べることから始める
噛み合わせに異常が認められる不正咬合や、歯並びに乱れがある歯列不正などは、それぞれのケースで原因が異なります。歯の生え方の異常に起因していることもあれば、骨格の形態に原因が認められることもあります。また、生活習慣に起因していることも珍しくありません。ですから、まずはご自身の不正咬合なり歯列不正が何に由来しているのかを正確に把握する必要があります。このうち、生活習慣に由来した不正咬合や歯列不正は、お口のトレーニングだけでも、ある程度改善することが可能といえます。
生活習慣に由来した不正咬合とは?
普段から、お口をポカンと開けているお子さんは、口輪筋を始めとしたお口周りの筋肉が弛緩しています。筋肉は使っていないと徐々に衰えていくため、そうした習慣をお持ちのお子さんは、前歯を口唇で覆うのが困難となっていることが多いです。その結果、前歯に対して適切な圧力がかからず、段々と前方へと傾いていきます。その結果、上顎前突や下顎前突、場合によっては開咬などの不正咬合を生み出していきます。こういった症例では、早い段階から筋機能療法を行うことで、不正咬合をある程度改善することが可能です。お子さんの顎の骨や歯というのは、まだまだ発育途上にありますので、口腔周囲の筋肉を正常に働かせることで、正しい咬合へと誘導することが可能なのです。
矯正治療を併用するとさらに効果が高まる
不正咬合や歯列不正が目立つケースでは、筋機能療法と矯正治療を併用することで、症状の改善が促進されます。ですから、筋機能療法のみで不正咬合が改善されないケースでも、矯正治療と併せることで、それぞれの効果を高めることができるのです。
まとめ
このように、お口のトレーニングというのは、あくまで間接的な治療であり、訓練の域にとどまりますが、症例によってはそれだけで不正咬合や歯列不正を改善することも可能です。ですから、気になる方はまず、不正咬合や歯列不正が何によって引き起こされているのかを診断してもらいましょう。
2019年02月26日
歯並びの異常を治したいという方は、歯列矯正などを受けることかと思います。歯列矯正は、治療期間が数年にも及ぶ歯科治療だけに、歯並びの異常も時間をかけてじっくりと治すことが可能です。けれども、どんなに優れた矯正法でも「治療後の後戻り」は避けて通ることができません。これは、矯正治療の性質上、仕方のないことといえます。さらに、舌癖のような悪習癖が存在していると、治療後の後戻りがさらに大きくなることもあります。ここではそんな後戻りに大きく影響する舌癖について詳しく解説します。
後戻りが起こる理由
歯列矯正というのは、歯並びの異常を特別な装置を用いて改善する歯科処置です。最も一般的なワイヤー矯正であれば、金属製のワイヤーとマルチブラケットを用いて、歯を強引に動かしていく治療です。もちろん、矯正学的には正常といえる位置に歯を動かすのですが、実は、施術前の状態の方が患者さんにとって自然な歯並びであることが珍しくないのです。ですから、時間をかけて強い矯正力をかけ、理想の位置へと歯を動かしても、また元の位置に戻る現象は何ら不思議なことではないといえます。そうした治療後の後戻りを防止するために、矯正治療には保定期間(ほていきかん)が設けられています。
舌癖による悪影響
さて、矯正治療後に移動した歯の後戻りが生じるメカニズムはご理解いただけたかと思いますが、舌癖による悪影響についても気になるところですよね。例えば、前歯を舌で押し出す舌癖がある場合は、せっかく出っ歯を歯列矯正によって改善したにも関わらず、矯正治療後も舌癖が残存していることで、後戻りを助長するのは容易に想像できるかと思います。これは開咬の原因となる舌突出癖に関しても同じことがいえます。いずれにせよ、舌癖というのは歯列に対して異常な圧力を加えるため、矯正治療後の後戻りに大きな悪影響を及ぼすケースが非常に多いといえます。
舌癖は矯正治療前に改善する
舌突出癖などの舌癖が存在している場合は、歯列矯正を受ける前に改善しておくことが大切です。苦労して歯を動かしても、舌癖が残存していたら、矯正治療による効果も減弱してしまいます。また、舌癖が存在していると、矯正治療が長引くこともありますので、事前に治療しておくことが重要といえます。
まとめ
このように、矯正治療には後戻りがつきものですが、舌癖があることでさらに大きな悪影響が予想されます。それだけに、舌癖はできるだけ早い段階で適切な処置を受けるなり、筋機能療法などを実施するなりした方が賢明といえます。
2019年02月25日
舌癖は、歯列の乱れや口腔乾燥など、口腔周囲にさまざまな悪影響を及ぼすことがあるため、早期に治療することが重要です。けれども、どのようにしたら舌癖が治るのか、すんなり答えられる人も少ないかと思います。ここではそんな舌癖の治し方について詳しく解説します。
舌癖の種類を検査する
舌癖を治す上でまず重要なのは、舌癖の種類を把握することです。一言で舌癖といっても、患者さん一人一人で異なりますし、多くの場合、小さなお子さんが治療対象となるため、自らの症状を正確に自覚することも簡単ではありません。ですから、お子さんの舌癖を治すためには、最初に歯科を受診することが大切です。歯医者さんは舌癖に関しても詳しいので、適切な検査を実施してくれます。同時に、適切な対処法も提案してくれることかと思います。
口腔筋機能療法で舌癖を治す
舌癖の種類によっては、口腔筋機能療法で治療することが可能です。治療といっても、トレーニングのようなものなので、歯科医院ですべての処置が完結するのではなく、親御さんがお子さんと一緒になって、ご自宅で行う訓練がメインとなります。口腔周囲の筋肉が正常に機能するようにトレーニングし、舌癖を解消していきます。
器具を用いた舌癖の治療
舌癖というのは、文字通り「癖(くせ)」なので、可能であれば親御さんからお子さんへとやめるよう促しましょう。それが最も自然であり、お子さんにとっても良い方法だといえます。とはいえ、舌癖を始めとした口腔習癖というのは、親から注意されてもそう簡単に治るものではなく、歯科医院での治療が不可欠なケースも多々あります。とくに、そのまま放置すると、明らかに大きな悪影響が予想される場合は、矯正器具などを用いて治療を行うこともあります。
例えば「タングクリブ」を用いた矯正治療は、臨床でもよく行われている矯正法です。タングクリブとは、歯列に装着するマウスピースのような装置です。舌を前に突き出そうとすると、金属のワイヤーが邪魔になるため、物理的に舌突出癖を防止することが可能となります。少々荒っぽい治療法に思えますが、歯列への悪影響を考えると、メリットの方が大きい治療法といえます。
まとめ
このように、舌癖は口腔筋機能療法や矯正器具を活用することで治すことができます。どの治療法を適応するかは症例にもよりますので、まずはお気軽に歯科を受診されてください。
2019年02月22日
舌癖は、小さなお子さんに良く見られるもので、いろいろな面においてデメリットが大きいといわれています。ただ、それが実際どのような面で悪影響を及ぼすのか、あまり明確なイメージが持てない方が多いのではないでしょうか。ここではそんな舌癖が及ぼす悪影響について詳しく解説します。
開咬を引き起こす
舌癖の代表である舌突出癖を放置していると、絶えず口が開いた状態となるだけでなく、前歯の歯並びに悪影響をもたらすことがあります。具体的には、「開咬(かいこう)」と呼ばれる歯列不正を引き起こすことがあるのです。開咬は、上下の前歯が前方へ突き出るなどして、口を閉じた状態でも歯列にすき間が生じている状態を指します。ものを噛んだ時にも当然、上下の歯列には隙間が存在しているため、食べ物を前歯で噛み切るのが難しくなります。
また、笑った時などに歯列間のすき間が目立つと、口元の審美性が著しく低下することにもつながります。さらに、開咬でよく起こりがちなのがドライマウスです。口を閉じた状態でも上下の歯列にすき間があることと、口唇が前歯を覆い隠すことができないということが影響し、安静時でも口が開いた状態となるのです。その結果、お口の中が乾きやすくなり、ドライマウスを発症させます。ちなみに、ドライマウスになると、口腔内の細菌の活動が活発化して、虫歯や歯周病のリスクも上昇するという点も知っておいてください。
出っ歯になる
舌で上の前歯を押し出すような習癖があると、徐々に前歯が前方へと傾いて、出っ歯と呼ばれる歯列不正を引き起こします。もしくは、舌癖によって舌が正常なポジションに安定していないと、上顎歯列への適切な圧力が働かず、「歯列弓狭窄(しれつきゅうきょうさく)」と呼ばれる異常を引き起こすことがあります。歯列弓が狭窄すると、歯がきれいに並ぶためのスペースが不足するため、結果として上顎前突である出っ歯になることも珍しくありません。
受け口になる
舌癖の種類によっては、出っ歯の反対である受け口あるいは下顎前突を引き起こすことがあります。これは舌で下の前歯を押し出したり、上顎骨の成長が阻害されて、相対的に下の顎が前方に突き出したりするためです。ただし、頻度としては出っ歯よりも稀であるといえます。
まとめ
このように、舌癖をいつまでも放置していると、開咬や出っ歯、受け口などの歯列不正だけでなく、虫歯や歯周病のリスクを上昇させるドライマウスまで引き起こすことがあるため注意が必要です。その他、舌癖が及ぼす悪影響についてさらに詳しく知りたい方は、歯科医院を受診してみてください。
2019年02月21日
皆さんは「舌癖(ぜつへき)」という言葉を聞いて、まず何を思い浮かべますか?舌の癖と書いて舌癖ですが、そもそもあまり意識したことのない人の方が多いかと思います。ここではそんな舌癖の種類や特徴などを詳しく解説します。
舌突出癖について
舌癖の代表といえば、「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」です。その名の通り、舌を前方へ突き出す習癖で、小さなお子さんによく見られるものです。おそらく皆さんも小さい頃は舌突出癖が習慣化していた時期もあるでしょうし、今現在、周りの小さなお子さんにもそうした習癖が見られるかもしれませんね。
異常嚥下癖について
次に、舌癖として挙げられるのは「異常嚥下癖(いじょうえんげへき)」です。突然難しい専門用語を出してしまい申し訳ないのですが、これもまた口腔周囲の発育に大きな悪影響を及ぼしかねない舌癖であるため、取り上げないわけにはいきません。なぜなら、異常嚥下癖は「ものを飲み込む」際に現れる悪習癖だからです。私たち大人は、ものを飲み込む時、舌が後方へと下がります。一方、異常嚥下癖は舌が前方へと突出します。つまり、舌が正反対の動きを見せるのが異常嚥下癖なのです。じつはこの動きは本来、乳児型嚥下と呼ばれるもので、ミルクを飲んでいる段階であれば正常といえます。これが離乳した移行も継続してしまうと「異常嚥下癖」になるのです。
その他の舌癖について
舌癖には、舌突出癖や異常嚥下癖の他にも、いろいろな種類があります。例えば、「弄舌癖(ろうぜつへき)」と呼ばれる習癖も舌癖の一種といえます。弄舌癖は舌でもてあそぶように、口腔内をいじくり回す行為で、例えば、前歯を裏側から押したり、歯と歯の間にすき間があるような部分に舌を挿入したりと、ケースによってさまざまです。口内炎などの傷口をいじくり回すのも一種の弄舌癖といえます。いずれにせよ、歯並びや傷口などに悪影響が及ぶことがあるため、放置するのはよくないと考えられています。ただ、弄舌癖に関しては周りの人が気づきにくいので、歯医者さんで指摘されることも珍しくありません。ですから、歯並びの異常や治りの遅い傷口など、気になる点があったらまず歯科を受診しましょう。
まとめ
このように、舌癖にはいろいろな種類があります。それぞれが口腔に与えるは異なり、対処法もケースバイケースといえるため、舌癖でお悩みの方はまず専門家に診てもらうことをおすすめします。舌癖をはじめとした口腔習癖の治療は、歯科医師の専門分野のひとつでもあります。
2019年02月20日
MFTとは、「Oral Myofunctional Therapy」の略称で、日本語では「口腔筋機能療法」と呼びます。口腔習癖や咀嚼、嚥下の異常、舌や口唇の位置異常などを機能訓練によって改善する治療法です。指しゃぶりがやめられないお子さんや口腔周囲の筋肉が衰えてきた高齢の方に適応されるもので、ケースに応じてさまざまな治療法が行われます。ここではそんなMFTについて詳しく解説します。
指しゃぶりや舌癖の改善
指しゃぶりや舌を前方に突き出す「舌突出癖」などは、歯列の乱れの原因となります。まだ歯が生えそろっていないような小さなお子さんであればそれほど気にする必要はないのですが、歯列が整い、指しゃぶりなどを卒業しなければならない年齢に達しても、そういった口腔習癖が残存していると、出っ歯の原因になることも珍しくありません。そこで有用なのが口腔筋機能療法です。さまざまな訓練を通して、指しゃぶりや舌突出癖などの解消し、舌やお口の周囲の筋肉が正常に働くように改善します。
口呼吸の改善
お子さんの中には、日常的にお口がポカンと開いていることがあります。それがもし、骨格的な原因ではなく、筋肉の弛緩や習癖によって開いているのであれば、口腔筋機能療法が有効となります。口腔周囲筋が正常に働くように訓練することで、口唇がきちんと閉鎖するようになり、自ずと口呼吸も改善されるのです。これはMFTが適応される主な症例のひとつといえます。
矯正治療後の後戻りを防止
歯列矯正を行うことで、乱れた歯並びを改善することができます。出っ歯や乱ぐい歯、受け口などを改善することで、口元のコンプレックスを解消することにもつながります。けれども、歯並びの乱れというのは、そもそも骨格的な問題があったり、口腔習癖に起因していたりするなど、必ず根本的な原因がその背景にあります。ですから、ワイヤー矯正などに代表される歯列矯正を実施しても、少なからず「後戻り」という現象は生じてしまうものなのです。もちろん、顔の骨の発育をコントロールしたり、骨格そのものを外科的な処置で整形したりするのであれば後戻りも起こりにくいですが、口腔習慣に起因している場合は、話は別です。そこで力を発揮するのが口腔筋機能療法です。適切な方法で口腔筋機能療法を実施することで、矯正治療後の後戻りを防止することにも役立ちます。
まとめ
このように、口腔筋機能療法はいろいろな症例に適応することのできる治療法です。逆にいうと、口腔周囲筋は歯並びや顎骨の発育などいろいろな面に影響を及ぼす重要なものといえますので、気になる点がある方はまず歯科を受診してみてください。