2018年06月11日
寝ている時に無意識に行っている歯ぎしりの原因の一つはストレスと言われていますが、それ以外にも様々な原因が考えられます。この歯ぎしりを改善するためのリラックス法として、寝る前にちょっと工夫をしてみましょう。
歯ぎしりについて
歯ぎしりとは、無意識に歯と歯をこすり合わせたり、歯を噛み締めたりすることです。寝ている間に起きる歯ぎしりは自分では気づかず、家族に指摘されてはじめて気づく人も多いでしょう。この歯ぎしりにはいくつかの種類があります。まずは歯ぎしりのタイプについてご紹介します。
・グライディング・・・歯と歯をギリギリと擦り合わせる動作で、顎や顎の関節に影響が出ることがあります。
・クレンチング・・・歯をぎゅっと強く噛み締めている、いわゆる食いしばりで音はしません。上下の咬合面が擦り減っていることが多いです。
・タッピング・・・上下の歯を合わせてカチカチと鳴らす動作です。
歯ぎしりの原因について
歯ぎしりの原因は様々で、これといった定義がありません。しかし最も大きな要因と考えられているのが、ストレスです。強いストレスを感じた時、人間は無意識に体を揺らすなどの仕草が現れ、歯ぎしりもストレスによって無意識に起こる行動であると考えられています。
何かに集中している時も食いしばりを引き起こしやすくなります。仕事や運動などに集中しているとき、無意識に歯を食いしばっていませんか?クレンチングにあたるこの食いしばりは頭痛や肩凝りの原因にもなります。
アルコールやタバコも実は歯ぎしりを誘発すると考えられています。これらの嗜好品は睡眠の質を下げ、歯ぎしりをしやすい状態を引き起こしやすくなります。
そして歯並びの悪さも歯ぎしりの原因と言われています。歯並びの悪さは噛み合わせも悪いことがほとんどで、不安定な噛み合わせが歯ぎしりを誘発しやすくなります。
歯ぎしりの改善はまずリラックスから。寝る前にこんな工夫を
歯ぎしりを改善するためにもぐっすり眠ることはとても大切です。次にストレスを解消するために寝る前のリラックス法をご紹介します。
・寝る1時間前にはパソコンやスマートフォンを見ない
寝る直前や、横になってからもスマートフォンなどを見ることは、睡眠の質を下げてしまいます。パソコンやスマホの液晶画面は脳を活性化するため、目が冴えて目つきが悪くなってしまいます。できる限り寝る前のパソコンやスマホを見るのを控えましょう。
・寝る前に温かい飲み物を飲む
寝る前に、ホットミルクやココア、ハーブティーなど温かい飲み物を飲むと、体が温まってよい眠りにつくことができます。
・寝る部屋の色調を落ち着いたものにする
寝る部屋を落ち着いた色調にすることもおすすめです。赤や黄色といった刺激の強い色は気分が上がりますが、その反面熟睡を妨げる色調でもあります。
寝る部屋にお勧めの色調は、緑、青、茶色です。カーテンや寝具などに取り入れることで
落ち着いた気分で眠りにつくことができる色と言われています。
これ以外にも枕の高さを工夫したり、アロマを焚くなどが寝る前のリラックス法としてお勧めです。穏やかな音楽を聴きながら寝るのもいいかもしれません。
ストレスを軽減し、質の良い睡眠を
歯ぎしりをそのままにしておくと、口の中だけでなく頭痛や顎など体にも悪影響が出てしまいます。歯ぎしりを改善するためには日常生活でなるべくストレスをためないこと、そして質の良い睡眠でぐっすり眠ることも大切です。寝る前にリラックスする工夫をしてみて下さい。
2018年06月8日
お子さんの歯並びを気にする親御さんは非常に多いと思います。出っ歯やガタガタの歯並びなどを見ていると、矯正治療をはじめなければとお思いにあることでしょう。この歯列矯正は、永久歯に生え変わるまで待つべきなのでしょうか。
歯並びが悪くなる原因とその影響とは
子どもの歯並びが悪くなる最も大きな原因は、顎の骨が小さく、永久歯がきれいに並ぶスペースが不足していることです。また顎の大きさに対し、永久歯が大きい場合も結果的に歯並びが乱れる原因となります。
歯並びが悪くなると歯が磨きにくくなるため、虫歯や歯肉炎、口臭などのトラブルが起こりやすくなります。また思春期は、見た目にコンプレックスを感じて思いっきり笑うことができないかもしれません。
歯並びが整うことで正しいブラッシングが行いやすく、虫歯や歯肉炎などのリスクが低くなり、見た目のコンプレックスも解消されて笑顔に自信も持てることでしょう。
歯列矯正は永久歯に生え変わってから行うべき?
では歯列矯正は永久歯が生えてから行うべきなのでしょうか。
一般的に歯列矯正は、歯が並ぶためのスペースを確保し、装置を装着して歯並びを整えます。そのため抜歯を必要とするケースが多いことが特徴です。
これに対し、顎の骨の成長を促すことを目的とした取り外し式の装置を使い、永久歯が並ぶスペースを確保する「床矯正」という方法があります。
床矯正は全ての歯が永久歯にはえかわるのを待たずに矯正治療を行うことができます。抜歯を回避することで子どもの負担を減らすことができることは床矯正の大きな特徴でしょう。
このように床矯正なら、永久歯が生え揃っていなくても矯正治療が可能です。
床矯正の特徴について
床矯正の大きな特徴は、抜歯を行わず顎の骨の成長を促すことで、永久歯が並ぶスペースを作ることです。そのため永久歯が生えるのを待たずに矯正治療を始めることができます。
まず床矯正のメリットをご紹介しましょう。
・抜歯を行う必要がほとんどない
・取り外し式の装置のため、食事や歯磨きを行いやすい
・虫歯になりにくい
床矯正は歯型を採って装置を作製します。装置にはネジがついており、歯科医師の指示に従ってネジを回して少しずつ装置を広げていきます。
装置を広げることで歯の移動を促し、歯のスペースを作りますが、ネジを回して装置を広げた直後は痛みを訴える子どもも少なくありません。しかしこれは歯が順調に動いていることを意味しており、お子さんによって励みにもなることでしょう。
子どもの歯が生えそろうのは12歳ごろまでですが、この頃まで経過を見守り、歯科医師の判断によってはそのままブラケット治療へ移行する、またはリテーナーと呼ばれる保定装置を装着して引き続き歯並びを整える治療を継続することも多々あります。
床矯正で気を付けるべき点について
床矯正は早くから矯正治療を行うことで、抜歯を行わずに済むというメリットがあります。
その反面、いくつかのデメリットも存在します。
・自分で外してしまうことがある
・装置を外すと元に戻ってしまうことがある
・ネジ回しを忘れてしまう
子どもにとって取り外し式の装置は違和感があるものです。また食事の際には取り外して食べることができますが、お友達から「入れ歯みたい」とからかわれることもあるため、恥ずかしくて自分で取り外してしまう子どもも多いようです。
装置を外してしまうと、せっかく広がったスペースが元に戻ってしまうことがあるため、一定時間以上はきちんと装着しておく必要があります。
またうっかりネジを回し忘れると、顎の成長を促すことができません。つい忘れてしまうこともデメリットと考えられるでしょう。
まとめ
床矯正は永久歯が生え揃っていなくても歯並びを整えることが可能です。しかし毎日一定時間は装置を装着することが大前提であり、ネジを忘れずに回す必要もあるため、親子でしっかりと管理する必要があります。
また顎や歯並びの状態によっては違う矯正治療が適している場合もあるため、お子さんの歯並びに悩む方は、まず歯科医師に相談しましょう。
2018年06月7日
喫煙習慣が与える健康への害はよく知られていますが、口腔内にも影響が及ぶことをご存知でしょうか。せいぜいヤニが付く程度、と思うかもしれませんが、タバコは口腔内にも悪影響を与えるのです。今回は喫煙習慣が口腔内にどのような悪影響を与えるのかをお話します。
喫煙が与える口腔内への影響
タバコの中でも煙には有害物質が非常にたくさん含まれており、その数は約4000種類の化学物質、200種類の有害物質そして37種類の発がん性物質が含まれていると言われています。こんな悪害だらけの喫煙習慣が口腔内に与える主な影響は次のとおりです。
・歯周病にかかりやすくなる
・歯周病の発見を遅らせる
・口臭の原因になる
・妊婦における早産および低体重児出産リスクが高くなる
・歯肉ガンや舌ガンなど口腔内のガンリスクが高くなる
・抜歯などの外科処置の際に血が止まりにくくなる
このように、タバコを吸うことで非常にたくさんのリスクを背負うことになってしまいます。体の健康だけでなく、お口の健康にも多くの悪影響を与えることがおわかりいただけると思います。
歯周病との関連性が深い
歯を失う二大原因のひとつ、歯周病は喫煙と非常に深い関わりがあります。
喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病になりやすく、治りにくいという特徴も持ち合わせていますが、なぜタバコを吸うと歯周病のリスクが高まるのでしょうか。その理由として、次のことが挙げられます。
・タバコを吸うと歯ぐきの血行が悪くなるため、歯ぐきに酸素や栄養が行き届かない
・タバコに含まれる有害物質の影響で抵抗力が弱まり、白血球の働きが半減するため歯周病菌が増殖する
・タバコを吸うと唾液分泌が抑えられるため、細菌が繁殖しやすくプラークや歯石も付きやすくなる
タバコに含まれる一酸化炭素は歯ぐきの血流の流れを悪くし、ニコチンは血管を収縮させてしまうため歯ぐきに十分な酸素や栄養分が行き届かなくなります。このため免疫力が低下し、細菌が増殖しやすくなることから歯周病のリスクが高まってしまうのです。
受動喫煙による被害が心配される
ご自身がタバコを吸わなくても、家族や周りの人が喫煙することでその煙を吸い込んでしまうことを「受動喫煙」言います。タバコの有害物質はこの副流煙に多く含まれているため、タバコを吸わない人が様々な害を受けてしまうことがあります。
例えば両親ともに喫煙者の場合、その子供が受動喫煙の影響を受けてお口の中や体の健康に影響を受けてしまう可能性が非常に高くなります。
ご自身だけでなく周りにも悪影響を与える喫煙習慣は、まさに百害あって一利なしと言えるでしょう。
お口と体の健康のためにもぜひ禁煙を
喫煙者にとっては耳が痛いお話だったでしょう。タバコは体の健康そしてお口の中の健康にとって悪害でしかありません。今からでも遅くないので、後悔しないためにも、是非禁煙に取り組んでいただきたいと思います。
2018年06月6日
「甘いものをたくさん食べると虫歯になる」とよく言われており、実際甘いものをたくさん摂ることは、虫歯のリスクが高くなることにつながります。しかし甘いもの全てが虫歯の原因とは限りません。キシリトールガムでよく知られているキシリトールは実は虫歯にならない甘味料なのです。今回は虫歯とキシリトールについてお話をします。
虫歯の原因とは
「甘いものの食べ過ぎは虫歯になる」は、正しくは「砂糖の摂り過ぎは虫歯になる」です。
虫歯の原因は、虫歯菌(主にミュータンス菌)と、虫歯菌が歯を溶かすための栄養分であり、
この虫歯菌が大好きな栄養分こそが「砂糖」なのです。
虫歯は、いくつかの原因が関係して発症します。
・口腔内に存在する虫歯菌
・食べかすから作られるプラーク
・虫歯菌の栄養分である砂糖
・砂糖を含んだ飲食物が口腔内に留まる時間
・唾液の質と歯の強さ
砂糖を含んだ食品を摂取することで歯の表面にプラークが形成されると、プラーク内に潜んでいる虫歯菌は糖分を分解して酸を作り出し、歯の表面を溶かしていきます。
この状態を脱灰と言い、脱灰が続くことでやがて虫歯へと進行してしまいます。
虫歯の要因である虫歯菌ですが、お口の中に虫歯菌が全く存在しない人は虫歯になりません。
よく知られているのは、生まれたての赤ちゃんのお口の中には虫歯菌がいないということです。
ではなぜ虫歯になるのでしょうか。それは虫歯菌が何らかの形で感染するからです。虫歯菌のある人が、同じお箸やスプーンで食べ物を与えることで感染してしまいます。
いちど虫歯菌に感染してしまうと、完全に取り除くことはほぼ不可能に近くなります。
そして砂糖を含んだ飲食物を摂取することにより、虫歯になるリスクが高まります。
また長時間だらだらと摂取することで、より虫歯になりやすい口腔内環境となってしまいます。
特に砂糖をたくさん含んだ飴やチョコレートなどをいつまでも食べていると、虫歯リスクが非常に高くなります。また気を付けなければいけないのは、スポーツドリンクや乳酸菌飲料、炭酸ジュースなどには大量の砂糖が含まれていることです。
砂糖を含んだ飲食物を長時間摂取することが、虫歯に大変深く関わっているのです。
虫歯にならない甘味料「キシリトール」とは?
ではキシリトールはなぜ虫歯にならないのでしょうか。ここでキシリトールの特徴について説明します。
キシリトールは糖アルコールという甘味料に分類されます。
糖アルコールは虫歯の原因となるプラークや酸を作り出しません。つまり虫歯菌を寄せ付けず、虫歯の原因にならないという性質を持っています。
その他にも虫歯の進行を防ぐ、脱灰を防ぎ、再石灰化を促す作用があるなど、虫歯になる要素を持たない甘味料なのです。
キシリトールを多く含む食品はイチゴ
キシリトールガムに代表されるように、キシリトールを含む食品はたくさん販売されています。中にはキシリトールチョコやグミ、タブレットなどもあり、虫歯にならないお菓子として知られています。
しかしそれ以上に注目すべきことは、果物や野菜にもキシリトールが含まれていることです。特にイチゴやラズベリーなどの果物にはキシリトールが含まれていることがわかっており、同じ間食をするならこのような果物を摂取するほうが体の健康のためにもよいでしょう。その他カリフラワーやレタスなどの野菜にもキシリトールが含まれています。
間食にイチゴを食べることで虫歯のリスクを抑えるだけでなくビタミンも摂取できることで、一石二鳥ではないでしょうか。
2018年06月5日
顎関節症が疑われる代表的な症状として、口を開けるとカクカク音がする、顎が痛いなどが挙げられます。しかし顎関節症の症状はこれだけではありません。自覚症状がないにも関わらず、実は顎関節症になっている可能性があります。そこで今回は顎関節症かどうか自分で調べるチェックポイントをご紹介します。
顎の状態を調べるチェックポイント
特に自覚症状がなくても、以下のような症状にいくつか当てはまる場合は顎関節症になっている可能性があります。
・顎を動かすと痛みを感じ、特に口を開閉するときに痛みがある
・するめなど固い食べ物を噛んだときや長時間会話すると、顎にだるさを感じる
・口が大きく開かず、人差し指から薬指を並べた3本の指を縦にしても入らない
・耳の前や頬、こめかみに痛みを感じる
・頭痛、肩凝りに悩まされている
いくつか当てはまった人は、顎関節症の疑いがあります。特に口を開閉したときに顎に痛みを感じる場合、顎関節症の可能性が高いと考えられます。
生活習慣が顎関節症を引き起こすかも?生活習慣のチェックポイント
顎関節症を引き起こす原因に、実は生活習慣が関わっていると言われています。
生活習慣の中で以下に挙げる項目に当てはまっていませんか?
次に顎関節症を引き起こしやすい生活習慣のチェックポイントをご紹介します。
・就寝中に歯ぎしりをする、または日中無意識に噛み締めていることがある
・同じ側で噛んでいる
・ストレスを感じることが多い
・うつぶせで寝ている
・頬杖をつく癖がある
・起きた時に顎がだるい感じがする
・夜ぐっすり眠れない
いくつか当てはまる人は、今は顎関節症になっていなくても発症しやすいリスクを抱えていると考えられます。
顎関節症の要因はひとつではない
顎関節症の原因は、ひとつだけではありません。いくつかの要因が重なることで顎の関節に負担がかかり、顎関節症を発症すると言われています。
特に歯ぎしりや噛み締めなどは、顎関節症の発症に関わる要因として注目されています。
このような癖は、本人が自覚しないまま無意識に行われる癖のため、なかなか改善が難しいようです。
またストレスも顎関節症の要因と考えられています。なぜストレスが顎関節症に関係するの?と思うかもしれませんが、ストレスを抱えると精神的な緊張を強いられ、無意識に噛み締めや就寝中の歯ぎしりを行い、噛み合わせの悪さとなって現れます。
この連鎖が結果的に顎関節症を引き起こすと考えられています。
自覚症状がある人は、早めに専門医に相談を
顎関節症のセルフチェックをご紹介しました。顎関節症は日常生活から発症することが多く、いわば生活習慣病とも言えます。セルフチェックで当てはまる項目が多かった人は、顎関節症になる可能性が高いと思われるため、日常生活から意識して過ごす必要があるでしょう。
また既に顎が痛い、だるいなどの違和感がある人は顎関節症を発症しているかもしれません。このような自覚症状がある場合、早めに専門医に相談しましょう。
2018年05月11日
銀歯は虫歯治療で取り扱われる非常にポピュラーな素材で、「虫歯=銀歯になる」とイメージする人が大半だと思います。しかし銀歯の素材は金属で、金属アレルギーを懸念する人もいるでしょう。では金属アレルギーがある人が銀歯の治療ができるのでしょうか。
銀歯について
銀歯は一般的に呼ばれている歯の詰め物や被せ物で、主に保険治療で使われる素材です。
正式には浅い虫歯の詰め物をインレー、深い虫歯で神経の治療を行った後に被せる被せ物をクラウンと言います。使われる部位はインレーの場合小臼歯、大臼歯です。被せ物は、前歯から犬歯の場合、見える表側が白いプラスチック、内側と裏側は金属です。小臼歯は以前は銀歯のみでしたが、近年は保険適用で白い被せ物(CAD/CAM冠)が選べるようになりました。しかし大臼歯は銀歯のみです。
歯科治療における金属アレルギーとは
指輪やネックレスなどの貴金属を身に着けたとき、肌に赤みや痒みなどの症状が出た場合、金属アレルギーが疑われます。この場合、金属に触れた部分に症状が出る接触性のものですが、金属が溶けてイオン化したものが体内に入ることで症状が起きるものがあります。この原因の一つが、歯科治療で使われている銀歯などの金属素材です。
歯科治療で使われている金属は主に「金銀パラジウム合金」「ニッケルクロム合金」「アマルガム」です。特に金銀パラジウム合金は詰め物、被せ物ともに使用される金属で、保険治療で使われる素材のほとんどを占めています。
お口の中に金属があることで、唾液中に溶けだした金属がイオン化して体内に入り込み、全身をめぐることで症状が出ることがあります。
この症状は口腔内だけでなく、頭痛など全身に症状が起きることがあります。主な症状は口内炎、口唇炎、舌炎など口腔内のトラブルに加え、アトピー性皮膚炎のような湿疹などです。
パッチテストによる金属アレルギー検査
お話したように、銀歯をはじめとした金属を使った歯科治療は金属アレルギーを引き起こす可能性が高くなります。お口の中に銀歯がある場合、貴金属を身に着けたわけでもないのに湿疹が出る、口内炎や舌などの粘膜に異常が起きるなどの症状が現れたときは銀歯による金属アレルギーと考えたほうがよいでしょう。元々金属アレルギーをお持ちの方は特に注意が必要です。
歯科治療による金属アレルギーが疑われる場合、パッチテストを行うことでどの金属に対してアレルギー反応が出るのかわかります。パッチテストは皮膚科の他、最近では歯科医院でもパッチテストを行っているところがあります。パッチテストによる金属アレルギー検査を行って、原因が歯科素材であるかどうか知ることができます。
健康のためにも金属を使わないメタルフリー治療を
金属アレルギーがある方は銀歯にすると金属アレルギーの症状が出る可能性が非常に高くなるでしょう。金属アレルギーの方はセラミックやレジンなど、金属を使わない治療が推奨されます。セラミック治療になると自費治療となるため高額な費用が必要となりますが、体の健康には代えられません。ご自身の健康のためにも金属を使わない治療を選択するほうが無難でしょう。
2018年05月11日
鏡や自撮り写真などを見て、顔の歪みが気になることはありませんか?自分が思っている顔とは違った顔がそこに写っていたらびっくりすることでしょう。顔の歪みの原因のひとつに、顎のズレが考えられます。では顎のズレと顔の歪みはどのような関わりがあるのでしょうか。
噛み合わせのズレが顔の歪みを引き起こす
皆さんは歯並びや虫歯は気になっても、噛み合わせはさほど気にならないのではないでしょうか。歯並びが良いときれいな口元に見える、虫歯がなければ健康的な歯・・・このように思っている人は非常に多いでしょう。
しかしお口の中の機能で最も重要なことは、正しい噛み合わせです。
奥歯で噛んだときに、バランスの取れた正しい噛み合わせなら問題はありませんが、上顎と下顎の噛み合わせが正しい位置にない場合、顎がズレて顎関節や頬の筋肉に痛みが出たり、口を大きく空き得ることができなくなったり、顎を動かすとカクカク音がするようになってしまいます。この症状が顎関節症であり、体に大きな影響を与えます。
そして上顎と下顎のズレこそが、顔の歪みの原因なのです。
顎のズレは主に下顎に起こりやすく、顔全体の筋肉が影響を受けやすくなります。
そのため口元や目などのパーツに歪みが起きてしまいます。
なぜ下顎の位置がズレるのか
ではなぜ上顎に比べて下顎がズレやすいのでしょうか。それは食べ物を噛む、話すなど口を動かす動作を伴うときは必ず下顎を動かすからです。頭蓋骨と下顎の骨がつながる「下顎頭」という骨を軸にして、噛む動作など顔面の筋肉を動かします。
しかし噛み合わせのズレは下顎頭の動きを悪くしたり顔の筋肉の緊張を引き起こし、固くさせてしまいます。そのため下顎の位置がズレて悪い噛み合わせの状態が続き、顎の位置が変わって顔の歪みを引き起こしてしまうのです。
特に顕著に表れるのが、目元です。顎の位置がズレると左右の筋肉のバランスが崩れてしまいますが、その影響を受けやすいのが目の周りの筋肉です。悪い噛み合わせが続くと、目の大きさに違いが生じることがあります。
またいつも同じ側でばかり噛むことも顔の歪み、特に口元の歪みに繋がります。
鏡や写真などを見て目元や口元に歪みはありませんか?もし歪みが気になる場合、上記のとおり顎の位置と噛み合わせに問題があると考えられます。
顔の歪みが気になる場合、まずは歯科医院へ相談を
顔の歪みや噛み合わせが気になる場合や、もしかして顎関節症かも、と思い当たる場合はまず歯科医院もしくは顎関節症の専門医に相談してみましょう。
また日常から同じ側でばかり噛まないようにすること、筋肉の緊張をほぐすストレッチなどを行ってみるのもよいでしょう。しかし噛み合わせが大きくズレている場合は筋肉をほぐすだけではすぐに元に戻ってしまいます。早めに専門医に相談するようにして下さい。
2018年05月10日
奥歯は前歯に比べて噛む力が強い特徴があります。奥歯を失い、機能回復手段としてインプラント治療を選択した場合、どのような手順で行われるのでしょうか。奥歯のインプラント治療の特徴や手順などをご紹介します。
奥歯の特徴とインプラント
奥歯は、前歯に比べて噛む力が強いことがまず大きな特徴として挙げられます。噛み合わせは体にとって大変重要な役割を持っており、奥歯の欠損は認知症など脳の機能にも少なからず影響します。このためインプラントを顎の骨に埋め込むことで、噛んだ時の力を分散さ、入れ歯やブリッジに比べて自然な噛み心地になります。
奥歯のインプラント治療の注意点
上顎の奥歯の上方には上顎洞という空洞があり、下顎には神経や太い血管が走っています。
重度の歯周病で顎の骨が薄くなってしまった場合、そのままインプラントを埋入するとこれらを傷つけてしまう恐れがあります。このため骨に厚みを持たせる手術などが必要になることがあります。
奥歯のインプラント治療の手順について
まずは精密検査を行い、お口の中の状態を診断します。
レントゲンや歯科用CTによる事前検査で顎の骨の厚みを把握します。
もし顎の骨が薄い場合、上記で触れたようにそのままインプラントを入れると組織を傷つけて後遺症が残ることがあります。このため治療前の精密検査や診断は非常に重要です。
上顎の骨が薄い場合は「サイナスリフト」や「ソケットリフト」など、骨に厚みを加えるための手術を、下顎の骨が薄く、神経などが近い場合は自分の骨を利用する「自家骨移植」や人工の骨を移植する「人工骨移植」の治療を行います。
骨の厚みがインプラント治療に十分足りていると判断された場合、通常のインプラント手術を行います。まず麻酔の注射を打ち、麻酔が効いたところで歯ぐきを切開して専用ドリルで顎の骨に穴を開けてインプラント体を埋入します。
インプラント埋入後歯ぐきを縫合し、骨とインプラント体の結合期間に入ります。
上顎はおよそ6~10か月、下顎はおよそ3~6か月程度が結合期間の目安です。
インプラント体と顎の骨の結合が確認できれば、次は二次オペを行います。麻酔後、歯ぐきを切開してインプラント体の先端を露出させてアバットメントを取り付け、その後型取りを行い、上部構造(被せ物)の作製へ進みます。
奥歯の上部構造は強度を重視し、ネジやセメントで固定するタイプの人工歯となります。
素材としてはジルコニアセラミック、オールセラミック、ハイブリッドセラミックといったメタルフリー素材のほか、メタルボンドやゴールドクラウン、パラジウムクラウンなど金属を使ったものを選ぶ場合もあります。
上部構造を装着後、噛み合わせに異常はないかどうかを確認してインプラント治療は終了します。
定期的なメンテナンスで快適な口腔内を
インプラント治療で大切なことは、定期的なメンテナンスをきちんと受けることです。
メンテナンスをきちんと受けることが、快適な口腔内を保つとともにインプラントを長持ちさせることに繋がります。特に奥歯は噛み合わせが非常に大切です。噛み合わせに問題はないかどうかを確認するためにも、定期健診は必ず受けるようにして下さい。
2018年05月9日
失った歯の機能回復手段の中にインプラントがあります。入れ歯やブリッジに比べて治療期間が長くなるインプラントですが、いったいどのくらいの治療期間が必要なのでしょうか。また手術に要する時間など、インプラントの手術時間と治療期間についてご説明します。
インプラントの手術方法について
インプラントは入れ歯やブリッジと異なり、外科手術を伴います。また顎の骨にインプラント体を埋入後、定着するまで期間を要します。その期間は部位や本数、そして手術方法で異なってきます。ここでまず手術方法についてご紹介します。
・一回法
一回法とは、インプラント手術を一度だけ行う方法です。インプラント手術の際、歯ぐきを切開して顎の骨にインプラント体を埋入したあと、インプラント体と人工歯をつなぐアバットメントを装着します。その後結合期間へ入り、インプラント体と顎の骨の結合を確認後、人工歯を装着します。
つまり一回法では人工歯を装着するまでの間、歯肉からインプラント体上部が露出している状態になります。
この方法は歯ぐきの切開が一度のみで済むため患者さんへの負担が少なく、治療期間も次にご紹介する二回法に比べて短い傾向にあります。また治療工程が単純なため費用を抑えることができます。
しかし感染のリスクが若干高いため、重度の歯周病の場合などは向きません。また顎の骨が十分ある方でないと難しいと言われています。
・二回法
インプラント手術として最もスタンダードな方法は二回法です。二回法とは、インプラント手術を二回に分けて行う方法です。一次オペで歯ぐきを切開して顎の骨にインプラント体を埋入後、縫合して歯ぐきを閉じます。一回法と異なり、インプラント体を完全に歯肉の中へ埋め込んでから結合期間に入ります。
骨とインプラント体の結合を確認した後、再び歯肉を切開してアバットメントを取り付ける二次オペを行います。二次オペは一次オペほど時間はかかりません。人工歯の型取りを行い、後日人工歯を装着して噛み合わせを確認して治療は終了します。
二回法はほとんどのケースに対応できます。また歯肉を閉じてしまうため、感染のリスクが低く、歯周病で歯を失った方にも適しています。
しかし外科手術を二度行う必要性があること、一回法に比べて人工歯を装着までの工程が複雑なため費用が高くなること、そして治療期間が若干長くなることがデメリットとして挙げられます。
インプラントの手術時間
インプラントは外科手術を伴います。そのため通常の抜歯に比べて時間は長くなります。
部位や本数、患者さんの体質により個人差がありますが、目安として一次オペは1時間程度、二回法の二次オペは15~30分程度の時間を要します。
インプラントの治療期間
インプラントの治療期間は上顎と下顎で異なると言われており、特に上顎の奥歯は前歯に比べると結合に時間がかかると言われています。
目安として、下顎の奥歯の場合は3~6か月、上顎の奥歯の場合は6~10か月程度かかることが多いようです。
部位や本数により治療時間や期間は異なります
インプラントの治療方法および治療期間などについてご説明しました。
歯科医師の方針や患者さんの口腔内の状態により条件は異なります。不明な点は事前にしっかりと歯科医師に確認しておきましょう。
2018年05月8日
子供が虫歯になってしまうと、親も大変です。特に奥歯は虫歯になりやすいことから歯磨きをしっかり行うなど、虫歯予防が欠かせません。そこで今回ご紹介するのが「シーラント」という虫歯予防の処置です。シーラントとは一体どんな治療を行うのでしょうか。
乳歯と生えたての永久歯は虫歯になりやすい
子供の歯は乳歯が抜けて永久歯が生えるものと、生え変わりがない永久歯があります。
前者は前歯から第二小臼歯まで、後者は第一大臼歯と第二大臼歯になります。
乳歯はもちろん、生えたばかりの永久歯は大人の永久歯に比べてまだ弱く、エナメル質も大人よりも少ないと言われています。このため酸にとても弱く、歯質が未熟な乳歯と生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすいという特徴があります。
特に奥歯は前歯に比べて歯磨きを行いにくく、磨き残しがよく見られるため虫歯になりやすいリスクを抱えています。また幼少期に行っていた保護者による仕上げ磨きを行わなくなりがちなのもこの頃です。奥歯の中でも6歳臼歯(第一大臼歯)は噛むために非常に重要な歯ですが、溝がとても深いため汚れが溜まりやすいのです。
シーラントについて
子供の永久歯は虫歯になりやすいことから、虫歯にならないための予防策を取ることが望ましいと言えます。虫歯予防という観点では、フッ素塗布が有名であり効果も高いです。いっぽうシーラントは、臼歯面の溝にプラスチックやセメントで埋め込み、汚れが溜まることを防ぐ役割を持っています。
なおシーラントは保険適用治療のため、それほど高額な費用はかかりません。
シーラント治療の流れ
シーラントは15分ほどの処置時間を要しますが、歯を削ることがないためお子さんも恐怖心を抱くことは少ないようです。ただし臼歯の溝に汚れが溜まっている場合は機械や器具などできれいに落とす必要があります。
次に汚れをきれいに洗い流し、水分を含まないよう風をかけて歯を乾かします。その後、歯の溝部分にプラスチックやセメントを流し込んで噛み合わせの確認を行います。
シーラントのデメリット
シーラントのデメリットは「臼歯面しか使えない」ところです。歯の溝にシーラントを埋めて虫歯予防を行いますが、前歯や犬歯などはシーラントができません。
また詰め物を行うときに使う薬品がいちばん外側のエナメル質を溶かしてしまうことがあります。エナメル質が溶けてしまうと、その部分が弱くなって逆に虫歯リスクが高くなってしまうことがあります。
一生使う大切な歯だからこそ大切に
永久歯は生えてしまうともう二度と生え変わりません。永久歯が虫歯になると、早い段階でその歯を失ってしまうリスクがあります。大切なお子様の歯を守るためにはシーラントだけではなく、親御さんの適切なスキンシップと歯をきちんと磨いてあげることです。
この時期に虫歯にならないためにもシーラントを活用してあげるとよいでしょう。