痛みを感じる虫歯と感じない虫歯
2019年03月20日
虫歯の症状と聞くと、「痛い、しみる」というイメージをお持ちの方が大半でしょう。確かに虫歯になると水などが滲みる、あるいは何もしていなくてもズキズキと痛みを伴います。しかし中には痛みを感じない虫歯もあります。では痛くない虫歯とは、いったいどのような状態なのでしょうか。
痛みを感じる虫歯について
虫歯は、虫歯菌が出す酸により歯が溶けていく病気です。歯の内部には神経が通っており、虫歯が進行するにつれ、だんだん痛みを感じるようになります。歯の表面は固いエナメル質で覆われており、酸によってエナメル質が溶けた状態では痛みを感じません。
しみる、少し痛む程度の虫歯になると、エナメル質の内側の象牙質まで虫歯が進行した状態です。象牙質は痛みなど刺激を感じ取る神経を覆っているため、虫歯が象牙質まで進行することで、痛みなどを感じるようになるのです。
そして虫歯が神経まで達してしまうと、激しい痛みに襲われます。これまで痛みを我慢してきた人も、この痛みでようやく歯科医院を受診することでしょう。
このように、虫歯は神経の近くまで進行することで、痛みなどの自覚症状を感じるのです。
痛みを感じない虫歯とは?
では痛みを感じない虫歯とは、どのような状態を言うのでしょうか。考えられるケースとして、以下の4点が挙げられます。
- 歯の表面が溶けただけで、穴が開いていないごく初期の虫歯
- 詰め物や被せ物の下で再び虫歯が進行する二次カリエス
- 歯ぐきが下がったことによる、歯の根元の虫歯
- 虫歯を放置し、根っこだけになった歯
ごく初期の虫歯とは、上で触れたとおり、歯の表面のエナメル質が少し溶けた「脱灰(だっかい)」という状態のことを言います。神経まで達しておらず、穴も開いていないため虫歯とはわかり辛いことが特徴です。
詰め物や被せ物の内部で虫歯が広がった場合も、痛みをほとんど感じません。特に被せ物を被せた歯は神経が取り除いてあるため、虫歯になっていても痛みを感じることはありません。そのため虫歯の発見が遅れがちになります。詰め物や被せ物が浮いたり取れたりすることで、二次カリエスになっていることが判明します。
歯周病や加齢などにより歯ぐきが下がると、露出した根元が虫歯になりやすくなります。と言うのも、歯の根元はエナメル質に保護されておらず、象牙質が露出した状態になっています。象牙質は年齢を重ねるにつれて厚みが増す傾向にあるため、虫歯になっていても痛みをあまり感じません。
最後にご紹介するのが、神経が死んで痛みを感じない虫歯です。虫歯が神経まで達して激しい痛みがあるにもかかわらず、そのまま放置すると、神経はやがて死んでしまいます。神経が死に絶えると痛みを感じなくなります。しかし根っこだけになった虫歯をそのまま放置することは非常にリスクが高く、虫歯菌が全身に回ることで感染症を起こす可能性があります。
痛くない虫歯を発見するためには、定期健診が重要
ほとんどの人は、歯が黒くなったり痛みを伴うことで歯科医院を受診することでしょう。反対に、痛みなどの自覚症状がない場合、歯科医院を受診せずに放置してしまうことも少なくありません。痛みのない虫歯をそのまま放置しておくと、歯を失ってしまう可能性が高くなります。
虫歯を早期発見、早期治療を行うことで、大切な歯を守ることができます。
そのためには定期健診が欠かせません。きちんと定期健診に通い、虫歯にならないお口の中の環境を整えるよう、意識することが大切です。