CAD/CAM冠
2019年07月5日
歯科治療において保険適用の場合、使える素材が決まっています。前歯は見える表側は白いレジンで作られますが、臼歯部の場合、金属の被せ物しか選択肢がありませんでした。近年、保険改定が行われ、小臼歯と大臼歯の一部に白い被せ物が選べるようになりました。それがCAD/CAMです。
CAD/CAM冠とは?
あまり聞きなれないCAD/CAM冠とは、保険適用の白い被せ物で、金属を一切使っていません。プラスチック素材であるレジンに陶器素材のセラミックを混ぜた素材です。小臼歯は笑ったときに目立つ部位であり、この部分が銀歯であることにコンプレックスを感じることもあるでしょう。自費治療なら、部位に限らず白く美しい歯を手に入れることができますが、費用が高くなってしまいます。CAD/CAM冠は、保険適用で白い被せ物を手に入れることができるという大きなメリットを持ち合わせています。
また金属を一切使わないため、金属アレルギーの心配がない他、金属によって歯ぐきが黒ずむ「メタルタトゥー」の心配もありません。
反対にCAD/CAM冠のデメリットは、適用できる部位が限られること、そしてレジンが使われているため年数が経つと変色すること、そして強度が低く割れやすいことが挙げられます。
CAD/CAM冠が適用できる部位について
審美的なメリットが大きいCAD/CAM冠ですが、適用部位は小臼歯と、条件付で下顎の第一大臼歯のみとなります。大臼歯の場合、上顎の大臼歯および下顎第二大臼歯は保険適用となりません。保険で安く修復したい場合は、銀歯になります。
また、下顎の第一大臼歯の場合も、細かな条件がクリアされた場合のみ適用となります。
そして歯の残り具合や根の状態、残存歯の数によっては、小臼歯でも銀歯のほうが適しているケースもあります。そのためCAD/CAM冠の適用は歯科医師の判断によります。
というのも、CAD/CAM冠は強度に若干の不安があるためです。特に第一大臼歯にCAD/CAM冠を使用する場合、歯質がたくさん残っていることが重要です。第一大臼歯は、噛むことにおいて非常に大切な役割を持っており、強度が必要となります。しかしCAD/CAM冠はセラミックが混ざっているとはいえ、レジンの成分が含まれているため、強度に不安が残るのです。そのため歯質が少ない場合などは、CAD/CAM冠による修復は難しいと考えられます。
経年劣化とプラークの付きやすさが欠点
適用部位以外に気をつけなければいけないことは、経年による変色とプラークの付きやすさです。レジンは年数が経つにつれて汚れを吸収するため、何年も使っていると変色してしまいます。
またセラミック含有とはいえ、オールセラミックと比べると表面がややザラついており、プラークがつきやすいため、二次カリエスのリスクを持ち合わせています。
しかし審美性に優れており、金属アレルギーなどの心配もないため、歯質の残り具合によっては小臼歯にはおすすめの素材といえるでしょう。