保険治療と自費治療の違い
2019年07月3日
歯の治療やメンテナンスには、健康保険が適用されるものと自由診療があります。歯科治療におけるこの両者には、どのような違いがあるのでしょうか。今回は、保険治療と自費治療についてお話をしたいと思います。
保険治療と自費治療の違いとは
歯科だけでなく、内科や眼科などの病院で受診をする際、窓口で健康保険証を提示しますよね。これは何かの病気や怪我が認められ、治療を必要とする場合に健康保険が適用となることを意味します。会計のときに支払う医療費は負担割合に応じて異なりますが、一般的には3割負担です。
歯科においても保険が適用される治療と保険適用外の治療があり、治療費に大きく差が出ます。
歯科治療で保険が適用されるのは、虫歯や歯周病など何らかの疾患が認められるケースです。治療費を抑え、最低限の機能回復を目的としているため審美面はあまり考慮されません。使用できる素材や薬剤も決まっており、制限があると言っていいでしょう。
いっぽう自費治療は健康保険が適用とならず、全額自己負担になります。
自費治療は予防や審美性を重視し、主にインプラントや予防治療、美しさを追求したセラミック治療、歯並びを整え、見た目を美しくする矯正治療そしてホワイトニングなどです。
保険治療で使用できる素材について
保険治療は治療費を安く抑えて症状を改善させることを目的としており、使用できる素材や薬剤も決まっています。
保険治療で使うことができる素材は、自費治療と比べて制限があります。詰め物や被せ物はセラミックではなくレジンという樹脂となり、見た目はそれほど違和感がありません。小さな虫歯や欠けてしまった場合などは、保険でも十分対応できます。
しかし被せ物の場合、自費の素材に比べると大きな差が生じます。犬歯までの前歯の場合、表側は白いレジンですが、裏側は金銀パラジウム合金を使った金属となります。
また奥歯の被せ物は銀歯となり、審美性に大きく劣ります。
なお保険改定に伴い、小臼歯および条件付で下の第一大臼歯に、CAD/CAM冠という保険が使える白いプラスチック素材が適用されるようになり、幾分審美面は上がるようになりました。しかしセラミック素材のものと比べると汚れが付着しやすいという欠点があります。
特に入れ歯の場合、安価で治療できるものの素材は全てプラスチックです。プラスチックの入れ歯は使っていくうちに汚れが付着し、劣化しやすい素材と言えます。また厚みがあるため味を感じにくいという声もよく聞かれます。
予防治療に関しては、歯科医院により保険の範囲内で行える場合があります。この場合、歯周病という病名がつくため歯周ポケット数値の検査は必ず行われます。また歯の表面をきれいに磨くペーストなども、保険では使えないものがあり、最低限の施術となります。
自費治療で使える素材について
自費治療は、保険治療では行えない、また使えない治療法や素材を自由に選ぶことができ、機能面と審美面どちらも考慮された治療や施術を受けることができます。
詰め物や被せ物はレジンではなく白く透明感があり、汚れが付きにくいセラミックを選ぶことができます。特に前歯の被せ物の場合、数年たって黄ばんでくるレジンと汚れがつきにくく、白さをキープできるオールセラミッククラウンでは見た目で大きな差が出てきます。
奥歯にも白い素材を選択することができるため、大きな口を開けても銀歯が目立つことはありません。
また失った歯の機能を回復させる場合、インプラント治療が選択肢として選べます。入れ歯に関しても、機能性の高い素材を選択することが可能となり、ご自身にぴったりと合う入れ歯の作製が可能です。
歯のクリーニングに関しても、自費治療の場合は色々な薬剤やペーストを選ぶことができるため、ご自身の歯やお口の中の状態に応じた施術ができます。
なお矯正治療は先天性顎変形症など特別な場合を除いて、自費治療となります。
このように、歯科治療における保険治療と自費治療では見た目と機能性、素材や薬剤の選択性に大きな差があると言えます。つまり安い治療費で最低限の機能回復を求めるか、見た目などにこだわりがあり、よりよい素材を求めるかによって異なります。