2019年05月30日
入れ歯をしていると、臭いが気になることがあります。そのため「入れ歯=臭い」と思われがちかもしれません。実際、入れ歯が臭ってしまっていることも多く、このイメージはあながち嘘ではないと思われます。ではなぜ入れ歯は臭くなってしまうのでしょうか。
入れ歯が臭ってしまう理由
人工歯で最も臭いが気になるのは固定式のブリッジですが、入れ歯は取り外し式にもかかわらず、なぜ臭くなってしまうのでしょうか。まず考えられるのは、入れ歯の手入れがきちんと行えていないことです。入れ歯は毎食後ごとに外してきれいに洗うことが基本です。
しかし、いちいち外して洗うのが面倒くさいと思い始めると、入れ歯をはめたまま生活することになってしまいます。入れ歯は、歯ぐきと床(ピンク色の部分や金属の部分)の間に食べかすが挟まりやすくなります。そのままにしておくと、お口の中の細菌と食べかすが混ざり合い、イヤな臭いに変化してしまいます。
そのため入れ歯やお口の中が細菌の温床となって不潔な状態となり、入れ歯が汚れてしまうのです。
特に保健適用の入れ歯の場合、素材が樹脂で作られています。樹脂は金属床に比べて傷が付きやすく、そこへ汚れや細菌が入り込んで臭う原因を作り出してしまいます。
入れ歯でも口臭が気にならないようにするには?
では「入れ歯は臭い」と思われないためにも、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
- 毎食後ごとに入れ歯を外し、流水で洗い流して食べかすを取り除く
- 寝る前に入れ歯を外し、入れ歯洗浄剤に漬けておく
- 入れ歯を洗うとき、研磨剤入りの歯磨き剤を使用しない
- お口の中のケアをしっかり行い、プラークコントロールを行う
- 唾液をしっかり出すようよく噛む
まず入れ歯を清潔に保つように心がけましょう。面倒くさいと思わず、食後は入れ歯を外して流水で洗い流して下さい。毎回歯ブラシで洗わなくても大丈夫です。とりあえず、食後は入れ歯を外し、食べかすをきれいに洗い流すことが最も大切です。
また入れ歯を洗うとき、研磨剤が入った歯磨き剤は絶対に使わないで下さい。研磨剤により樹脂に傷がつき、汚れが入り込む原因を作ってしまいます。また消毒効果といって、熱湯をかけることは厳禁です。樹脂が変形し、入れ歯が合わなくなってしまいます。
お口の中を清潔にしておくことも大切です。部分入れ歯の場合、ご自身の残っている歯の歯磨きをしっかりと行いましょう。入れ歯の場合プラークが溜まりやすいため、虫歯や歯周病を防ぐためにもプラークコントロールを行うことを意識して下さい。
適切なお手入れをしていれば、入れ歯をしていても口臭は気にならないはずです。入れ歯のせいでお口が臭い!と言われないようにするためには、まず入れ歯とお口の中を清潔にすることが第一です。
また口臭がするのには、何らかの理由があります。入れ歯だから臭うのは当たり前と思わず、常に入れ歯とお口の中を清潔な状態に保つように心がけましょう。
2019年05月27日
歯を失ってしまった場合、まず思い浮かぶのが入れ歯ではないでしょうか。しかし最もスタンダードな治療法である入れ歯に抵抗を感じる人もいるでしょう。では入れ歯にはどのようなメリットがあるのか、今回は入れ歯の良さについてご紹介したいと思います。
入れ歯の種類について
入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯があり、どちらも保険適用で治療が可能です。
部分入れ歯は、まだ歯が残っている場合に作製し、残っているご自身の歯にバネを引っ掛けて使用します。総入れ歯は歯を全て失った場合に作製し、上顎および下顎に沿うように作られており、お口の中にはめて使います。
保険の入れ歯の場合、安価で作製できるぶん素材などの選択肢がなく、全て樹脂となります。
いっぽう自費の入れ歯には色々な種類があり、素材も様々です。部分入れ歯にはバネがなく、審美的に優れているものや、床(しょう)の部分がプラスチックではなく金属を用いた金属床を使ったものがあり、熱伝導に優れています。
またインプラントオーバーデンチャーという、インプラントと義歯を組み合わせたものなど色々な種類もあり、中には100万円以上する入れ歯もあるほどです。
入れ歯に抵抗を感じるのはなぜ・・・?
さて、虫歯や歯周病などで歯を失ってしまった場合、早急に噛む機能を回復させなければいけません。そのための手段として入れ歯、インプラント、ブリッジがあります。
冒頭で触れたとおり、入れ歯に抵抗を感じる人は多いと思いますが、それはなぜでしょうか。その理由として、次のようなことが考えられます。
・高齢者がするイメージが強い
・見た目が悪い
・食べ物が挟まる
・痛い
・噛みにくい
・ガタガタする
・取り外しが面倒くさい
・金具が折れやすい
・すぐに合わなくなってしまう
このような声がよく聞かれます。しかし入れ歯には、インプラントやブリッジにはないメリットも数多くあるのです。
入れ歯の良さとは?
では入れ歯の良さはどこにあるのでしょうか。次に入れ歯のメリットを挙げてみます。
- 外科処置を伴わないため、持病があっても治療することができる
- 全国ほとんどの歯科医院で治療できる
- 取り外し式のため、手入れしやすい
- 歯を削ることがほとんどない
- 調整しやすい
- 保険の入れ歯の場合、安価で治療することができる
- 入れ歯が出来上がるまでの期間がインプラントと比べるとずっと短い
- 破損しても修理しやすい
- 自費の入れ歯の場合、審美的に優れているものや機能が優れているものを作製できる
このように多くのメリットがありますが、最も特筆すべき点は①および②でしょう。
入れ歯はよくインプラントと比較されますが、インプラントは外科手術を伴い、患者さんの全身状態によっては手術できない場合があります。また高齢の方も、手術に不安を感じることでしょう。
入れ歯の場合、抜歯以外の外科処置を必要としないため、持病があっても治療できます。これはインプラントに不安がある方にとっては大きなメリットです。
またインプラントの場合、どこの歯科医院でもインプラント治療ができるわけではありません。これに対し入れ歯の場合、全国ほとんどの歯科医院で取り扱っているため、わざわざ遠くの歯科医院へ足を運ぶ必要がありません。そのためちょっとした調整や修理が必要になった場合も、通院しやすいというメリットがあります。
この他にもご紹介したような良いところが入れ歯にはたくさんあります。しかしお口の中の状態は、患者さんによって異なります。最も適した治療を行うためにも、担当医とよく相談のうえ、治療方針を決めることが大切です。
2019年05月24日
乳歯は永久歯が生えてくると、その短い役目を終えます。では乳歯はいったいどのように生え変わるのでしょうか。また生え変わりの順番はあるのでしょうか。今回は、乳歯の生え変わりについてお話をいたします。
乳歯の生える時期について
まず、乳歯が生える時期について触れてみます。乳歯の数は上下合わせて20本で、
赤ちゃんによって個人差がありますが、一般的に生後6~7ヶ月ごろから生え始め、3歳ごろに生え揃います。
では乳歯の生える順番と名称、おおよその時期をご紹介します。(左側が上顎/右側が下顎)
- 乳中切歯・・・7ヶ月/6ヶ月
- 乳側切歯・・・9ヶ月/7ヶ月
- 乳犬歯・・・1歳半/1歳4ヶ月
- 第一乳臼歯・・・1歳2ヶ月/1歳
- 第二乳臼歯・・・2歳/1歳8ヶ月
乳歯の役割とは
乳歯は、固形物を噛むという咀嚼機能を育てるために存在します。赤ちゃん時代に母乳やミルクで栄養を摂取していたのが、乳歯が生えることによって離乳食が始まり、歯の生え方によって少しずつ固形物を食べる訓練をします。
しかし乳歯の役割はそれだけではありません。しっかりと噛んで顎の骨を成長させ、後に生えてくる永久歯を正しい歯列に導くという非常に大切な役目を持っています。永久歯の歯並びは、乳歯時代の咀嚼に大きく影響し、噛み応えのあるものをしっかりと噛むことで永久歯が生えるスペースを確保します。
乳歯が永久歯へ生え変わる仕組みと順番について
では続いて永久歯が生え変わる順番に移りましょう。
- 第一大臼歯・・・6~7歳/6~7歳
- 中切歯・・・7~8歳/6~7歳
- 側切歯・・・8~9歳/7~8歳
- 第一小臼歯・・・10~11歳/10~12歳
- 第二小臼歯・・・10~12歳/11~12歳
- 第二大臼歯・・・12~13歳/11~13歳
- 第三大臼歯(親知らず)・・・17~21歳
永久歯は上下合わせて28本あり、親知らずを合わせると、全部で32本です。親知らずは生えてこない人もいるため、通常28本で数えます。
第一大臼歯、第二大臼歯、第三大臼歯(親知らず)は乳歯がありません。そのため生え変わりではなく、新たに生えてくると表現してもいいでしょう。
永久歯が生えるためには、永久歯が並ぶ場所が必要です。乳歯は永久歯と比べて根が短いという特徴があります。そのため成長とともに、乳歯が生えていた場所の下から永久歯が押し上げることでグラグラし始め、やがて抜け落ちます。
なお乳歯同様、永久歯の生え変わりの時期も個人差があります。お友達が早く生えているのが気になるかもしれませんが、永久歯が歯ぐきの中にあれば心配することはありません。しかし中には永久歯の欠損も考えられるため、念のためレントゲン撮影を行ってもらうと、その後の対処がしやすいでしょう。
2019年05月15日
乳歯は生え変わる時期が来ると、下から永久歯が押し上げてきてグラグラし、自然に抜け落ちます。しかし場合によっては歯科医院を受診したほうがよいケースもあるため、ご家庭では判断しにくいこともあります。今回は、乳歯がグラグラなときに歯科医院を受診したほうがよいケースについてお話をいたします。
歯の生え変わりについて
可愛らしい乳歯も、ある時期がくればその役目を終えます。それが、永久歯が生えるときであり、永久歯が下から押し上げることにより、根が短い乳歯はグラグラし始め、自然に抜け落ちます。
乳歯が抜ける時期はお子さんにより個人差がありますが、下の前歯が抜け始めるのがおよそ6歳ごろであり、その後順を追って抜けていきます。乳臼歯は前歯に比べると抜ける時期は遅く、中には中学生になってからやっと抜けるケースもあります。
他のお子さんと比べて我が子は抜けるのが遅いのでは?と心配になることもあるかもしれませんが、レントゲンで歯ぐきの中に永久歯の存在が確認されればそれほど心配することはありません。
歯科医院を受診したほうがよいケースとは
乳歯がグラグラしてきたとき、自然に抜けるのを待つほうがよいのか、歯科医院を受診したほうがよいのかわからないときはどうすべきなのでしょうか。抜けるのを待たずに歯科医院を受診したほうがよいケースは、次のとおりです。
- グラグラしている歯に痛みがあり、歯ぐきが腫れている場合
- 永久歯が生えてきているのになかなか乳歯が抜けない場合
- 乳歯が割れてしまい、完全に乳歯が抜けておらず、根が残っている場合
- 乳歯がほとんど抜けているのに、歯肉のごく一部がくっついてプラプラしている場合
このようなケースは歯科医院を受診し、抜歯の処置を受けたほうがよいでしょう。特に永久歯が生えてきているものの、歯列的に問題があると考えられる場合は、自然に抜けるのを待たずに歯科医院を受診して下さい。永久歯の歯並びに深刻な影響が残ることが心配されます。
乳歯が抜けたあとに気をつけるべきこととは
乳歯が抜けたあとや、歯科医院で抜歯の処置を受けたあとに気をつけるべきことについてご紹介します。
まず、乳歯が抜けたあとの穴が気になるからといって、お子さんが舌や指で触らないように気をつけてあげてください。抜けた後の歯ぐきは自然に治りますが、指や舌で触ってしまうと、治りが遅くなる場合があります。
特に汚れた指で触らないようにしましょう。細菌感染が起こると、歯肉が腫れてしまう恐れがあります。
また顔を出し始めた永久歯が虫歯にならないよう、保護者の方が丁寧に仕上げ磨きをしてあげてください。乳歯のない位置ですが、特に第一大臼歯(6歳臼歯)は溝が深く、奥のほうにある歯で非常に虫歯になりやすい歯です。永久歯の中でも第一大臼歯は最も大切な歯であるため、ケアを怠らないようにお子さんに声かけをし、保護者の方は仕上げ磨きを怠らないように気をつけてあげてください。
短い間とはいえ、乳歯のケアはとても大切です。