噛まない、丸呑みをするという相談が増えています
2019年03月14日
歯科医院には、お子さんの食事の仕方に関して相談にいらっしゃる親御さんが少なくありません。例えば、よく「噛まない」あるいは「噛めない」ことや、食べ物を丸呑みするといったお悩みです。確かに、そうした習慣が小さい頃から身に付いてしまうと、いろいろなトラブルの原因となってしまうため、早期に改善する必要があります。ここではそんなお子さんの食べ方に関する問題について詳しく解説します。
よく噛まないことの悪影響
大人になると、仕事の合間などに急いでご飯を食べなければならない方も多く、自然と早食いが身に付いてしまうケースも珍しくありません。早食いは、食べ物をよく噛まないことと同じ意味なので、一般的にも良いものではないとされています。ただ、世間的な理解としては、よく噛まないことで消化が悪くなることや、満腹中枢が刺激されずについつい食べすぎてしまい太りやすくなる、といった点がフォーカスされていることかと思います。これらはいずれも間違いではないのですが、発育途中のお子さんに関しては、さらに大きなリスクが生じることになります。それは口腔機能の発達不全です。
口腔機能の発達不全が起こる理由
よく噛まないと、まず咀嚼筋が発達しませんよね。咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋といった咀嚼に関する筋肉は、毎回の食事できちんと使わなければ、正常に発育しないのです。また、歯に関しても同じで、食事の際によく噛まないと歯列が乱れることがありますし、歯根膜や顎骨へと適切な力が加わらず、それらの組織の発育が阻害されることもあるのです。実際、手足なども毎日適切に使い続かなければ、衰えていってしまいますよね。それと同じことが口腔周囲の組織にもいえます。とりわけ、発育途上のお子さんに関しては、よく噛んで口腔機能の発育を促していくことが大切です。
丸呑みすることの悪影響
食べ物を丸呑みすることの悪影響は、口腔機能発達を阻害するというよりは、全身の発育への悪影響の方が心配されます。よく噛まずに丸呑みすると、消化管へと負担が大きくなります。場合によっては、栄養素をきちんと吸収できなくなるため、お子さんの全身の成長を阻害することにもつながるからです。もちろん、丸呑みする前の段階で「よく噛まない」という問題が存在していますので、いずれにせよ口腔機能の発育にも悪影響が及びます。
まとめ
このように、お子さんでご飯を食べる時に「よく噛まない」ことや「丸呑み」するといった習慣が目立つようであれば、改善するよう心がけましょう。その習慣を継続してしまうと、口腔機能発達不全症などを引き起こす原因となります。