「後戻り」に大きく影響する舌癖
2019年02月26日
歯並びの異常を治したいという方は、歯列矯正などを受けることかと思います。歯列矯正は、治療期間が数年にも及ぶ歯科治療だけに、歯並びの異常も時間をかけてじっくりと治すことが可能です。けれども、どんなに優れた矯正法でも「治療後の後戻り」は避けて通ることができません。これは、矯正治療の性質上、仕方のないことといえます。さらに、舌癖のような悪習癖が存在していると、治療後の後戻りがさらに大きくなることもあります。ここではそんな後戻りに大きく影響する舌癖について詳しく解説します。
後戻りが起こる理由
歯列矯正というのは、歯並びの異常を特別な装置を用いて改善する歯科処置です。最も一般的なワイヤー矯正であれば、金属製のワイヤーとマルチブラケットを用いて、歯を強引に動かしていく治療です。もちろん、矯正学的には正常といえる位置に歯を動かすのですが、実は、施術前の状態の方が患者さんにとって自然な歯並びであることが珍しくないのです。ですから、時間をかけて強い矯正力をかけ、理想の位置へと歯を動かしても、また元の位置に戻る現象は何ら不思議なことではないといえます。そうした治療後の後戻りを防止するために、矯正治療には保定期間(ほていきかん)が設けられています。
舌癖による悪影響
さて、矯正治療後に移動した歯の後戻りが生じるメカニズムはご理解いただけたかと思いますが、舌癖による悪影響についても気になるところですよね。例えば、前歯を舌で押し出す舌癖がある場合は、せっかく出っ歯を歯列矯正によって改善したにも関わらず、矯正治療後も舌癖が残存していることで、後戻りを助長するのは容易に想像できるかと思います。これは開咬の原因となる舌突出癖に関しても同じことがいえます。いずれにせよ、舌癖というのは歯列に対して異常な圧力を加えるため、矯正治療後の後戻りに大きな悪影響を及ぼすケースが非常に多いといえます。
舌癖は矯正治療前に改善する
舌突出癖などの舌癖が存在している場合は、歯列矯正を受ける前に改善しておくことが大切です。苦労して歯を動かしても、舌癖が残存していたら、矯正治療による効果も減弱してしまいます。また、舌癖が存在していると、矯正治療が長引くこともありますので、事前に治療しておくことが重要といえます。
まとめ
このように、矯正治療には後戻りがつきものですが、舌癖があることでさらに大きな悪影響が予想されます。それだけに、舌癖はできるだけ早い段階で適切な処置を受けるなり、筋機能療法などを実施するなりした方が賢明といえます。