歯ぎしり緩和のためにマウスピースをはめるのと、何が違うの?
2019年02月18日
歯ぎしりや食いしばりの治療では、一般的にマウスピースを使用します。矯正治療でも使うようなマウスピースを装着して、歯ぎしりや食いしばりによる影響を排除します。そこで気になるのがボツリヌス菌注射との違いですよね。いずれも歯ぎしり緩和で行われる治療法ですが、どういった違いがあるのでしょうか。
ボツリヌス菌注射は筋肉の活動を抑える
まず、ボツリヌス菌注射についてですが、使用するのはボツリヌス菌の成分の一部です。ボツリヌス菌には、強力な毒素を産生する能力があり、その一部の成分を使用することで、咬筋に代表される咀嚼筋の活動を抑えます。その結果、歯ぎしりや食いしばりといった悪習癖が緩和されることがあるのです。もちろん、歯ぎしりや食いしばりの原因がその他にある場合は、ボツリヌス菌注射で症状が緩和されないこともあります。
マウスピースは眠っている時に装着する
歯ぎしり緩和のために用いられるマウスピースを専門的には「ナイトガード」と呼んでいます。夜眠っている間に装着するマウスピースであるため、このような名前が付けられています。歯ぎしりは就寝中に生じることが多く、夜間マウスピースを装着することで歯や顎への負担を軽減します。
マウスピースが歯ぎしりによる圧力を緩和する
私たちがものを噛む力というのはとても強いです。男性の場合は、50kg以上の力でものを噛むことができるため、歯や顎にかかる負担は非常に大きくなっています。食事の際中であれば、歯と歯の間に食物が介在しており、咀嚼圧は緩和されていますが、歯ぎしりとなると話は変わります。強力な咬合力が歯や顎関節に直接伝わってしまうため、歯ぎしりが慢性化するといろいろなトラブルが引き起こされるのです。そこでマウスピースを装着することで、歯や顎への負担を軽くすることが可能となります。
歯ぎしり自体が消失していく
マウスピースによる治療を続けていくと、歯ぎしりや食いしばりといった悪習癖自体が消失していく傾向にあります。そういった効果が現れるまでには時間がかかりますが、マウスピースは単に歯ぎしりによる異常な圧力を軽減するためだけの装置ではないことも知っておいてください。
まとめ
このように、ボツリヌス菌注射による歯ぎしりの治療では、「噛む」という運動をつかさどる咬筋の働きを抑制します。一方、マウスピースによる治療では、歯ぎしりによる悪影響を軽減するという作用が期待できます。治療を選択する際は、それぞれの違いを理解した上で検討することをおすすめします。