ボツリヌス菌ってどんな菌?
2019年01月29日
歯科医院では、歯ぎしりなどの治療のために、ボツリヌス菌を使用することがあります。ボツリヌス菌というのは、細菌由来の毒素であるため、いろいろと不安に感じる方も少なくないかと思います。ここではそんなボツリヌス菌について詳しく解説します。
ボツリヌス菌の特徴
ボツリヌス菌は、特別な細菌というわけではなく、土の中や海、川などで普通に生息しています。ですから、私たちも日常生活を送っている中で、接触する機会がないわけではありません。実際、ボツリヌス菌が産生する毒素によって、健康被害を受けたという報道をたまに耳にしますよね。おそらくそれは、食中毒に関するものであり、特定の食品などを摂取することで、ボツリヌス食中毒を起こしたものと考えられます。
ボツリヌス菌による食中毒とは
ボツリヌス菌は、土の中や海の中などに存在している細菌ですが、そこから直接、毒素による悪影響を受けることはほとんどありません。ですから、山歩きや遊泳をしていて突然、ボツリヌス菌の毒素で体調を崩すようなことはなく、多くのケースでは、食中毒という形で健康被害が発生します。例えば、ビンや缶などで密閉されている保存食などは、その原因となりやすいです。とくに、魚の発酵食品をレトルトにしたような食品では、ボツリヌス菌が増殖しやすい傾向にあるといえます。ちなみに、ボツリヌス菌というのは、いわゆる「嫌気性細菌」と呼ばれる細菌ですので、酸素のない環境を好みます。さらに、低酸素状態に置かれることによって、毒素を酸性しやすくなるという特徴を持っています。
ボツリヌス菌の毒素は非常に強い
ボツリヌス菌が産生する毒素は、自然界の中でも最強と呼ばれるほど毒性が強いです。それだけに、ボツリヌス食中毒には注意しなければなりません。そこで気になるのが歯科治療で活用するボツリヌス菌ですよね。それだけ強力な毒素を歯科治療で使用しても大丈夫なのか、不安になる気持ちもよくわかります。歯ぎしりなどのブラキシズムを治すために、そんな危険な毒素を使用する必要があるのか疑問に思われるかもしれませんが、実際に使用するのは、毒性を弱めたボツリヌス菌ですので、ご安心ください。ブラキシズムの治療で用いるボツリヌス菌で、重大な健康被害が起こることはまずありません。
まとめ
このように、ボツリヌス菌はどこにでも存在しているような一般的な細菌ですが、産生される毒が非常に強くなっています。とくに、ボツリヌス菌による食中毒には注意する必要があります。一方、上手くコントロールすれば、歯ぎしりや食いしばりといったブラキシズムの治療に活用することも可能です。