「受け口」はすぐにでも治療を開始しましょう
2018年10月11日
噛み合わせの異常である「不正咬合」には出っ歯をはじめ、色々な症状があります。その中でも通称「受け口」と呼ばれる不正咬合は、すぐにでも治療を開始する必要があります。ではなぜ受け口は早期の治療を必要とするのでしょうか。
受け口とその原因について
下の歯全体が上の歯よりも出ており、横から見ると顎が出ている不正咬合を専門的に「下顎前突」と言い、一般的に「受け口」「しゃくれ」「反対咬合」と呼ばれています。
本来なら、奥歯で噛んだ時に上の前歯が下の前歯を数ミリ覆っていますが、受け口は下の歯が上の歯よりも前方へ出てしまう噛み合わせの異常です。
受け口の原因は、歯の形態や悪癖などが原因である「歯性下顎前突」と、骨格に原因が認められる「骨格性下顎前突」に分けられます。
歯性下顎前突は、歯の発育不良や口呼吸、舌の癖、幼少期のおしゃぶりなどが要因として挙げられます。
いっぽう骨格性下顎前突の場合、顎の骨の位置そのものの異常で、その多くは遺伝によるものです。両親や親戚に受け口の人がいると、骨格性下顎前突の確率は高くなると考えられます。
受け口をそのままにしておくと?
受け口の治療をせず、そのままにしておくと、様々な悪影響が起こります。
・前歯が噛み合わないため奥歯に全ての力がかかり、奥歯の寿命が短くなる
・噛み合わせが悪く、肩凝り、頭痛、消化不良など全身の健康に影響が出やすい
・噛むときに無理な力がかかるため、顎に負担がかかりやすい
・発音しにくく、話し辛い。特にサ行に影響が出やすく、相手も聞き取りにくい
・顎関節症を引き起こすリスクを抱える
・特徴のある外見のため、気分的に落ち込んでしまう
このように、真逆の噛み合わせである受け口になると、深刻な影響が出てしまいます。
受け口と診断されたらすぐに治療を
お子さんの集団検診などで受け口と診断されたら、早急に治療を開始する必要があります。というのも、受け口はそのままにしておくと、下顎がどんどん前方へ突出し、悪化の一途をたどってしまうからです。
受け口の治療は通常の歯並びの乱れとは異なり、長期的な治療が行われます。歯性下顎前突の場合、早期初期治療、第一期治療そして第二期治療と治療時期を分け、年齢に応じた治療を行います。その都度上下の顎の位置関係や噛み合わせを慎重にチェックします。3歳ごろになるとムーシールドという装置を使用し、噛み合わせを正しく整える治療が中心となるでしょう。
永久歯が生え揃った成長終了後に行う第二期治療では、外科治療を伴う場合もあります。
なお骨格性下顎前突では、ほとんどの場合外科処置を必要とします。
受け口と診断されたら、すぐに歯科医院を受診し、治療を開始しなければいけません。受け口の治療は早期治療がとても大切です。