歯周病と歯周内科
2018年10月3日
いつまでも自分の歯で食事を楽しむことは、健康な体作りに大いに関係しています。
ところが日本人の成人の約8割は歯周病に罹患しており、歯周病の悪化により歯を失う人が大変増えています。歯周病治療には歯石除去が主な治療法ですが、重度歯周病の場合、効果が表れにくく、再発しやすいという問題を抱えています。そこで歯周病の最新治療法である「歯周内科」に注目が集まっています。
歯周病の原因
歯周病は、歯周病菌による感染症であり、その原因はプラーク中に含まれるカンジダ菌などの細菌感染です。
プラークは、お口の中に潜む細菌が作り出した粘り気のある細菌の塊で、主に歯と歯ぐきの境目に付着します。プラークは比較的柔らかい物質ですが、やがて石灰化して固くなり、歯石となって歯にこびりつきます。
毎日の歯磨きを頑張っても、どうしてもプラークは作られてしまいます。表面上はきれいに磨けていても、歯と歯の間や、上顎のいちばん奥の歯の裏側などは完全に汚れを取り切ることが困難で、どうしてもプラーク化しやすくなる部位です。
プラーク1mgの中には非常に多くの細菌が棲みついており、その中に潜むカンジダ菌などのカビをはじめとした細菌が毒素を放出し、歯ぐきに炎症を起こします。軽度歯周炎なら歯石除去やクリーニングを行うことで悪化を防ぐことが可能ですが、重度歯周炎になると治療に時間がかかり、改善は困難となってしまうのです。
歯石除去だけでは改善できない重度歯周炎
歯周病は、症状の程度に関わらず歯石除去を行う治療が一般的です。しかしお口の中の状況や抵抗力など複数の要因が重なることで、歯周病を完治させることは非常に難しいと言われています。
これはどんなに歯石除去を行っても、お口の中の細菌の存在により、完全に取り切ることは不可能であることを意味しているのです。重度歯周炎の場合、歯肉の下に歯石がこびりついており、SRPや歯肉剥離によるフラップオペレーションという外科手術を行っても完治には至らない場合がほとんどです。
原因そのものを除去する「歯周内科」とは
歯周内科は、歯周病の原因である細菌を、内服薬によって除去する最新の治療法です。
患者さんから唾液を採取し、顕微鏡を使って原因となる細菌を特定し、抗生物質を一定期間服用する治療法です。
内服薬の種類は歯科医師の判断により異なりますが、細菌を除去する作用のある抗生物質を処方されますので、指示された方法できちんと飲み切るようにして下さい。
また歯科医院で歯石除去やクリーニングを行いながら、ご自宅で抗菌作用のある歯磨き剤を併用し、徹底した細菌の除去を行って歯周病の改善を目指します。
なお歯周内科を行って症状が改善しても、定期的な歯石除去は必要です。またご自宅のホームケアも怠らずに、常に歯周病と向き合っていく姿勢が大切です。