本当に怖い歯周病!歯周病は全身の健康にも影響します。
2018年10月1日
今では歯を失う原因のトップとも言われている歯周病。痛みを伴う虫歯と異なり、歯周病は自覚症状をあまり感じないまま症状が進行してしまう怖い病気です。しかも歯周病は全身の健康にも影響すると言われており、単にお口の中の症状だけに留まりません。つまり歯肉だけの病気ではないのです。
歯周病について
歯周病とは歯周組織に起こる炎症の総称で、症状や進行具合によって歯肉炎と歯周炎に分けられます。
歯周炎は歯ぐきだけでなく、歯の根の周りの歯根膜や歯を支える歯槽骨など、歯周組織全体に起こる炎症のことです。お口の中の清掃状態が悪く、プラークが形成されるとそこに歯周病菌が棲みつき、毒素を出して歯ぐきに炎症を起こします。この状態は歯周炎一歩手前の「歯肉炎」の状態で、適切なブラッシングで改善が可能です。
しかし歯肉炎が悪化すると歯と歯肉の境目にある「歯周ポケット」と呼ばれる数値が高くなり、歯周炎へと進行するサインのひとつとなります。歯周ポケットの正常値は2ミリから3ミリですが、4ミリ以上になると要注意です。歯周ポケットから入り込んだ歯周病菌が歯槽骨まで侵入し、少しずつ顎の骨を吸収し始めています。つまり歯槽骨が溶け始めた状態=歯周炎と定義づけると考えられるのです。
歯周病がもたらす影響について
歯周病はそのままにしておくと悪化の一途をたどり、決して治癒しません。放っておいて悪化するという意味では虫歯と似ていますが、虫歯は痛みや滲みるといった分かりやすい症状が起こり、歯科医院を受診するきっかけに繋がります。
ところが歯周病は、痛みなどの自覚症状をあまり感じません。せいぜいブラッシング時の出血程度であり、それほど気にも留めない人が大半だと思います。
この時点でブラッシングを見直し、定期的に歯石除去やクリーニングを受けておくと歯周炎への悪化を防ぐことができます。しかしそのまま放置しておくと歯ぐきの腫れが悪化し、歯周ポケットの隙間から入り込んだ歯周病菌によって徐々に歯槽骨が吸収され始めます。
歯槽骨が吸収され始めると、中度歯周炎へと進行し、歯ぐきの腫れや出血だけでなく、口臭がひどくなる、歯槽骨が吸収されることで歯が長くなる、少しずつ歯が揺れ動くなどの症状が出始めます。
さらに悪化すると歯周ポケットは8ミリ以上の高い数値となり、歯ぐきの炎症だけでなく膿が溜まり始めます。口臭はますますひどくなり、相手に不快感を与えてしまうほど強烈な臭いを放ちます。この頃になると歯ぐきの腫れのせいで噛むと痛みを感じるようになります。歯はグラグラで今にも抜けそうになり、ここまでくると歯周病の末期状態で、歯を残すことは不可能になります。
しかし歯周病の怖いところはお口の中だけで終わらないことです。
歯周病は糖尿病や脳梗塞、心内膜炎、誤嚥性肺炎、妊婦の早産および低体重児出産など、全身の健康に影響することがわかっています。
また歯周病で歯を失ってしまうとしっかり噛むことができません。虫歯のように一本の歯で終わらず、歯ぐきや歯周組織全体に炎症が起こることで、食事が困難になってしまいます。
噛むことが辛くなると消化不良を起こすだけでなく、脳の活性化にも影響が及びます。よく噛むことは脳を刺激し、認知症などの予防に繋がりますが、歯周病により歯を失ってしまうことでよく噛まずに食事を行い、脳の活性化を低下させてしまいます。
このように、歯周病は歯ぐきの炎症にとどまらず、全身の健康にも大きく関わっています。
歯周病を予防することが、全身の健康を守るといっても過言ではありません。
定期的に歯石除去やクリーニングを受けて、歯周病を予防することを心がけて下さい。