虫歯以外にも歯が溶ける病気があります。
2018年08月2日
歯が溶ける病気と聞くと、まずほとんどの人は虫歯を思い浮かべるでしょう。しかし、虫歯以外にも歯が溶ける病気があることをご存知でしょうか。今回は虫歯ではないのに歯が溶ける「酸蝕症」についてお話を進めていきます。
「酸蝕症」とはどんな病気?
酸蝕症とは、酸性の食べ物や飲み物、胃液により歯が溶ける病気です。ここ最近急に増えてきたと言われています。
虫歯との違いについて
虫歯は、虫歯菌が作り出す酸によって歯が溶ける病気です。これに対し、同じ歯が溶ける病気でも、酸蝕症は口の外から入ってくる酸や胃酸など体の内部からの酸によって歯が溶ける病気です。
虫歯は、プラーク中に棲みついた虫歯菌が酸を作り出し、やがて歯を溶かし始めます。この状態を脱灰といい、虫歯の一歩手前の状態です。脱灰が進むとやがて虫歯へと進行してしまいます。
また虫歯の場合、磨き残しがある歯に起こりますが、酸蝕症は口の中全体に酸が広がるため広範囲にわたり歯が溶けることが特徴です。
また虫歯のように穴があいて黒くなるわけではなく、痛みもあまり感じないため気づきにくいという性質があります。
酸蝕症の原因について
酸蝕症は、酸を多く含む飲食物や胃液によって歯が溶けてしまいます。その原因は生活習慣や食生活にあると考えられます。
若い年代ではスポーツ飲料や清涼飲料水を多量に摂取することで酸蝕症を引き起こしやすくなります。
また過度なダイエットや拒食症、過食嘔吐など摂食障害も酸蝕症を引き起こす要因になります。
中年層は健康志向が強く、酢やワインなどを摂取することが多くなりがちです。酢やワインは酸を多く含んでいるため、非常に酸蝕症になりやすい飲食物です。
高齢者になると、胃食道逆流症が増加しやすくなります。胃食道逆流症とは、胃酸を多く含む内容物が食道内に逆流する症状で胸焼けや嘔吐などが起きやすく、歯を溶かす原因となります。
酸蝕症になりやすい飲食物とは
酸を多く含む飲食物はたくさんありますが、特に注意すべきものは、清涼飲料水やスポーツドリンクでしょう。これらはクエン酸を多く含んでおり、長期間にわたって摂取することで歯が溶けてしまう原因になります。またワインも酸性度が強く、多量に摂取すると酸蝕症を引き起こすリスクが高まります。
またレモンは酸を多く含んでいます。ビタミンCが豊富で体にはとても良いのですが、歯にはあまり良い影響を与えません。
酸蝕症の症状と治療について
酸蝕症は歯の表面のエナメル質が溶けて薄くなります。そのため象牙質が露出し、冷たいものなどが滲みやすくなるなど、知覚過敏の症状が現れます。
歯全体が薄くなり、色は象牙質が透けるため黄色っぽく見え、見た目にも変化が起こります。また前歯など、歯の先端が擦り減ったようになることも特徴です。
酸蝕症の治療は、知覚過敏の薬を塗る、虫歯治療で使われるレジンを使って溶けた部分を充填する方法が一般的です。
また欠損部分が大きい場合、セラミッククラウンやラミネートべニアなど被せ物による治療が必要になる場合もあります。
酸蝕症にならないよう、日ごろから注意が必要
酸蝕症の原因は、飲食物の摂り方や生活習慣です。酸を多く含む飲食物を多量に摂らない、またちびちびと長時間にわたって飲むことも、歯が溶ける原因になるため控えるようにしましょう。
また胃液は非常に酸性が強いため、嘔吐を起こさないよう生活習慣にも気を付けなければいけません。
虫歯ではないのに歯が擦り減っている、知覚過敏の症状がある場合は、早めに歯科医院で診てもらうようにして下さい。