歯の構造について
2018年06月20日
歯の表面を覆っているのはエナメル質であることを知っている人は多いと思います。エナメル質で覆われた内部には色々な組織がありますが、その中のひとつである「歯根膜」がどんな働きをするのか知っている人はそう多くはないでしょう。今回は歯根膜の役割について説明します。
歯の構造について
歯根膜の働きについて説明する前に、まず歯の構造を知っておきましょう。
まず歯冠と呼ばれる歯の部分はエナメル質、象牙質、セメント質そして歯髄から成り立っています。
歯の表面を覆っているのはエナメル質で、体の中で最も硬い組織です。エナメル質の内部は象牙質で、歯の大部分を構成している分厚い組織です。象牙質はセメント質という薄い膜で覆われており、象牙質の内側には歯髄と呼ばれる、いわゆる神経が通っています。虫歯が神経まで到達すると激しい痛みを感じます。
歯冠を支えているのは歯肉、歯槽骨そして歯根膜で、これらの組織を歯周組織と言います。
歯肉とはいわゆる歯ぐきのことです。そして歯を支えているのは歯槽骨と呼ばれる顎の骨で、歯根膜とは、歯の根の周りにある組織で、幅がわずか0.15~0.38という大変薄い膜です。この薄い膜がいったいどのような役割を持っているのでしょうか。
非常に大切な役割を持つ歯根膜
歯根と歯槽骨の間にある、わずか0.1ミリ程度の薄い膜である歯根膜の役目をまずご紹介します。
・噛んだ時の力を吸収、分散して歯や骨にかかる力を和らげるクッションのような役目を持つ
・歯にかかる力を刺激として脳に伝え、全身のバランスに影響を与える
歯は噛むとかなり大きな衝撃を受けます。しかし歯根膜はクッションのような役割を持っているため、噛んだ時の衝撃をから歯や周りの骨を守ります。
また硬さや柔らかさを判断して噛み応えを感じる役割、そして咬合力を調整する役割を持っています。
この歯根膜はたいへん敏感であり、髪の毛のような細いものにも刺激として感じ取ります。
また矯正治療で歯を動かすことができるのも、この歯根膜があるからです。したがって、人工歯根であるインプラントには歯根膜は存在せず、インプラント体と歯槽骨が直接結合するため、矯正治療のように歯を動かすことはできません。
歯根膜炎に注意!
歯根膜に炎症が起こると痛みとなって現れます。歯根膜炎になる原因として、虫歯や歯周病、歯ぎしりによる炎症、根管治療後の炎症、歯の破折や外相による炎症などが挙げられます。これらの原因により治療法が異なるため、違和感があるときは早めの受診をお勧めします。