奥歯のインプラント治療
2018年05月10日
奥歯は前歯に比べて噛む力が強い特徴があります。奥歯を失い、機能回復手段としてインプラント治療を選択した場合、どのような手順で行われるのでしょうか。奥歯のインプラント治療の特徴や手順などをご紹介します。
奥歯の特徴とインプラント
奥歯は、前歯に比べて噛む力が強いことがまず大きな特徴として挙げられます。噛み合わせは体にとって大変重要な役割を持っており、奥歯の欠損は認知症など脳の機能にも少なからず影響します。このためインプラントを顎の骨に埋め込むことで、噛んだ時の力を分散さ、入れ歯やブリッジに比べて自然な噛み心地になります。
奥歯のインプラント治療の注意点
上顎の奥歯の上方には上顎洞という空洞があり、下顎には神経や太い血管が走っています。
重度の歯周病で顎の骨が薄くなってしまった場合、そのままインプラントを埋入するとこれらを傷つけてしまう恐れがあります。このため骨に厚みを持たせる手術などが必要になることがあります。
奥歯のインプラント治療の手順について
まずは精密検査を行い、お口の中の状態を診断します。
レントゲンや歯科用CTによる事前検査で顎の骨の厚みを把握します。
もし顎の骨が薄い場合、上記で触れたようにそのままインプラントを入れると組織を傷つけて後遺症が残ることがあります。このため治療前の精密検査や診断は非常に重要です。
上顎の骨が薄い場合は「サイナスリフト」や「ソケットリフト」など、骨に厚みを加えるための手術を、下顎の骨が薄く、神経などが近い場合は自分の骨を利用する「自家骨移植」や人工の骨を移植する「人工骨移植」の治療を行います。
骨の厚みがインプラント治療に十分足りていると判断された場合、通常のインプラント手術を行います。まず麻酔の注射を打ち、麻酔が効いたところで歯ぐきを切開して専用ドリルで顎の骨に穴を開けてインプラント体を埋入します。
インプラント埋入後歯ぐきを縫合し、骨とインプラント体の結合期間に入ります。
上顎はおよそ6~10か月、下顎はおよそ3~6か月程度が結合期間の目安です。
インプラント体と顎の骨の結合が確認できれば、次は二次オペを行います。麻酔後、歯ぐきを切開してインプラント体の先端を露出させてアバットメントを取り付け、その後型取りを行い、上部構造(被せ物)の作製へ進みます。
奥歯の上部構造は強度を重視し、ネジやセメントで固定するタイプの人工歯となります。
素材としてはジルコニアセラミック、オールセラミック、ハイブリッドセラミックといったメタルフリー素材のほか、メタルボンドやゴールドクラウン、パラジウムクラウンなど金属を使ったものを選ぶ場合もあります。
上部構造を装着後、噛み合わせに異常はないかどうかを確認してインプラント治療は終了します。
定期的なメンテナンスで快適な口腔内を
インプラント治療で大切なことは、定期的なメンテナンスをきちんと受けることです。
メンテナンスをきちんと受けることが、快適な口腔内を保つとともにインプラントを長持ちさせることに繋がります。特に奥歯は噛み合わせが非常に大切です。噛み合わせに問題はないかどうかを確認するためにも、定期健診は必ず受けるようにして下さい。