歯を失ってしまったら 入れ歯とインプラントについて2
2018年03月15日
歯を失ってしまったら?② ~入れ歯とインプラントのメリット・デメリット~
歯を失ったら入れ歯しかないのか・・・そう思う方は多いと思います。しかし噛む機能を回復させる治療には入れ歯だけでなく、インプラントという手段があります。入れ歯とインプラント、それぞれどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。どちらの治療法を選択するか迷っている方は是非参考にしてください。
入れ歯のメリット
入れ歯は取り外し式の義歯で、部分入れ歯と総入れ歯があります。
ここでは部分入れ歯を中心に、入れ歯のメリットについてお話を進めていきます。
保険適用のため治療費を抑えることができる
入れ歯の作製は保険が適用されるため、安い費用で入れ歯を作ることが可能です。
治療期間が短い
入れ歯は型取りから完成までの期間が短く最短で10日~2週間ほどで噛む機能を取り戻すことが可能です。ただし本来入れ歯は精密な過程を経て作製します。そのため基本的には1ヶ月ほどで機能を取り戻すと考えたほうがよいでしょう。
本数に制限がない
保険適用の入れ歯には、本数に制限がありません。例えばブリッジの場合、保険適用の場合は2本までと決まりがありますが、入れ歯の場合そのような制限がなく、欠損した本数に関係なく安価で治療できます。
誰でも治療が可能
入れ歯の場合、外科処置を伴いません。そのため持病があったり薬を服用していても治療することができます。またほとんどの歯科医院で取り扱っているため、歯科医院を選ぶこともありません。
入れ歯のデメリット
では入れ歯のデメリットについてご紹介します。
噛む力が弱い
入れ歯の最大のデメリットは、噛む力が弱いことです。咀嚼力は天然歯に比べて部分入れ歯は20~30%、総入れ歯の場合は10~20%と言われており、いちばん肝心な咀嚼機能に大きな不安が残ります。
特に総入れ歯は作製当初はぴったり合っていても、自分の歯がないことでだんだん顎の骨が痩せてきます。そのため床(ピンク色の部分)と粘膜の間に隙間が生じてガタガタしやすくなります。
歯に負担がかかる(部分入れ歯)
部分入れ歯は歯にクラスプと呼ばれる金具を引っ掛けて使用します。このクラスプをかける歯に負担がかかり、のちに歯を痛める原因になります。
クラスプなどで歯ぐきなどに傷がつく
部分入れ歯のクラスプにより、粘膜が傷つき口内炎になることがあります。
また合わない部分入れ歯を使うことで歯ぐきなどに炎症を起こすことがあります。
インプラントのメリット
インプラントは外科手術を行い、顎の骨にインプラントを埋入してその上に人工歯を装着することで噛む機能を取り戻します。インプラントの主なメリットは次のとおりです。
天然歯に近い自然な噛み心地
インプラント体を顎の骨に埋め込むことで、歯の根の役割を果たします。そのため天然歯に近い噛み心地を取り戻すことができます。
審美性に優れている
インプラント治療で使われる人工歯はセラミックやジルコニアなど、白くて美しい素材のものが選ばれることがほとんどです。天然歯と並んでもほとんどわからないほど自然な口元に仕上がります。
他の歯に影響がない
インプラント治療の最も優れている点として、他の歯に影響がないことが挙げられます。
入れ歯はバネをかけることで他の歯に負担がかかりますが、インプラントは失った歯部分のみを治療するため、周りの歯は影響を受けません。またインプラント体は顎の骨と結合するため、顎の骨の吸収を抑えることができます。
インプラントのデメリット
メリットが多いインプラントですが、デメリットも存在します。
保険適用外のため、高額な治療費が必要になる
ごく一部の症例を除き、インプラントは自費治療になります。またオールオン4など、総入れ歯のためのインプラントの場合、相場が約250万円前後と高額となり、保険の総入れ歯と比べると負担が大きくなります。
外科手術を伴う
インプラントは外科手術を必要とします。そのため持病を持っている人や薬を服用している人は、場合によりインプラント治療が難しいことがあります。歯科医師、内科のかかりつけ医とよく相談して下さい。
治療期間が長い
インプラントは顎の骨とインプラント体が結合する期間を要し、最低でも半年はかかります。また部位や症例により、1年くらい治療期間が必要となる場合もあるため、長期間不便を感じることがあります。歯科医院により、即時負荷が可能なインプラントもあり、その日のうちに仮歯が入ることもありますが、全てのインプラントで即時荷重が可能と言うわけではありません。
自分に合った治療法を選択することが大切
入れ歯とインプラントのメリットおよびデメリットについてお話しました。どちらの治療も良い面とそうでない面を持ち合わせていますが、咀嚼機能および残った歯の健康を考えると、インプラントのほうが適していると考えられます。
大切なことは、自分に合った治療法を選ぶことです。どちらが適しているのか、歯科医師とよく相談し、噛む機能を取り戻すことが大切です。